新監督がメモ魔と化した!?

 日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)が16日、J1第20節浦和-広島戦が行われた埼玉スタジアムを訪れ、Jリーグを初視察した。90分間にわたり、同行したスタッフと身ぶり手ぶりで話しながら持参したノートにメモを取り続けた。この日は各会場で代表入りを狙う若手が活躍。9月の親善試合ウルグアイ戦(同5日・札幌ド)、ベネズエラ戦(同9日・横浜国際)のメンバー発表は28日で、指揮官は限られた時間の中で選手を選考する。

 「この選手の持ち味は?」「このチームの特徴は?」。周囲と身ぶり手ぶりで会話をしながら、アギーレ監督は90分間にわたり、メモを取り続けた。「最初の視察の試合としては印象は良かった。気になった選手が何人かいたのでメモした」と満足げに話した。

 過去の日本代表監督より圧倒的に早い試合開始1時間10分前に会場入り。シルビア夫人、次男のミケル氏、通訳候補2人、日本協会の霜田技術委員、日本代表スタッフの和田氏を帯同し、サポーターの声援には手を振って応えた。

 試合中は次期強化担当技術委員長の霜田氏、分析担当の和田氏らと情報交換。「今日は90分間、統率が取れた試合だった。これまでビデオでも何試合か見たが、Jリーグは競争力もあり良いレベル」と振り返った。

 「攻撃も守備もできる、90分間戦える選手を選びたい」。11日の就任会見の言葉を繰り返した。広島が守備を固める時間が続いたが「外国人がいない状態での試合で(日本の課題とされる)球際についても弱いという印象は持たなかった」と話した。

 15日の1回目のスタッフ会議で既に20~30人の名前を把握。28日のメンバー発表へ「スタッフと一緒に毎週末に5~6試合は見たい」と話し、周囲に「他の試合のビデオも見たい」とあらためて要請した。

 試合後の囲み取材では実名は挙げず「28日に(メンバーの)リストを出しますので」とけむに巻いたが、日本協会関係者によると浦和GK西川やFW興梠のプレーに特に興味を示していたという。20日の天皇杯、23日のJ1リーグ戦を視察し、リーグが開幕した海外組のプレーも映像でチェックし、28日に備える。

 試合前、日本滞在歴9年の浦和ペトロビッチ監督にあいさつし、電話番号を手渡され「日本や日本人の特徴など、何でも聞いて下さい。初めての視察で来ていただき光栄です」と後方支援を約束された。

 18年W杯ロシア大会のアジア予選で使用する可能性がある「聖地」埼玉スタジアムを放送ブースから見下ろし「素晴らしいスタジアムだ」と感嘆の声を上げた。メモ魔と化した90分間を終え「戦術的、技術的にも素晴らしい選手がいる」と手応えを示した。

 この日は他会場で代表入りを狙う若手が躍動。視察したスタッフから良い報告が入ることは間違いない。Jリーグ初視察は日本代表のチームづくりの第1歩。これから本格的にアギーレジャパンを築き上げていく。【菅家大輔】