MF香川真司(25=ドルトムント)が生き残りを「三度目の正直」にかける。日本代表は11日、愛知県豊田市内で合宿2日目の練習を実施。香川はGK川島とともに1日遅れで合流した。6対6のミニゲームでは14日ホンジュラス戦の先発が予想されるグループに入った。慣れないインサイドハーフ、過去2度の脳振とう。出遅れた定位置争いで巻き返すべく、W杯ブラジル大会以来5カ月ぶりに復帰したMF遠藤、MF今野との新トライアングルでラストチャンスをつかむ。

 慣れた顔が、慣れない位置で香川の視界に入ってきた。6対6のミニゲーム。隣に遠藤、すぐ後ろに今野がいる。アギーレジャパンでは1列下がったインサイドハーフ。ザックジャパン時代と様変わりした関係性に「フォーメーションも選手もかわって、すごく新鮮ですよね。刺激になる」。午前中にドイツから帰国した疲れも見せず、約1時間半の中で連係を確かめた。

 ドルトムントのトップ下と違う手探りの位置で、最初で最後の選考を迎える。9月のベネズエラ、ウルグアイ戦は招集辞退。マンチェスターU時代の8月26日に試合で脳振とうを起こしてテストすら受けられなかった。再起をかけた10月のジャマイカ戦は先発も、前半24分に相手選手のひじが顎を直撃。2度目の脳振とうで、王国ブラジルと戦わずして離脱した。残る14日ホンジュラス戦、18日オーストラリア戦で新指揮官に一発回答する必要がある。

 その中で、遠藤と今野の復帰は頼もしい材料だ。10年W杯南アフリカ大会後から4年間、一緒にレギュラー固定されてきた2人と、アギーレジャパンでは中盤3枚の三角形を形成する。「お互いの良さを分かり合ってるし、うまくバランスが取れる」と歓迎すれば、遠藤も「(香川)真司の特徴や癖は知り尽くしてる」と同調。新ポジションに「スタイルを構築している最中で、時間はかかる。クラブとの違いを埋める作業になかなか答えは出ない」と戸惑いもあるが「特にポゼッションで質の高い部分を見せられる」と、短期間での連係向上に自信を示した。

 評価上昇中の柴崎、前主将の長谷部とも争うことになる。10月のジャマイカ戦は「1試合じゃ、どういうものか分からなかった」と正直に話す。だからこそ「この2試合で手応えをつかみ、自分のものにしなければいけない」。自分ともライバルとも闘う香川の8日間が始まった。【木下淳】