アギーレジャパンが、年内最終戦を「仮想アジア杯」と定めて勝ちにいく。18日のオーストラリア戦(長居)は、ハビエル・アギーレ監督(55)就任後初のアジア勢との対戦。来年1月のアジア杯オーストラリア大会(9~31日)で連覇の障壁になるライバルを本番前にたたき、チームに自信をもたらす勝利を厳命した。日本代表は15日、愛知・豊田市内で練習した後、大阪府内へバスで移動した。

 ホンジュラス戦の6発快勝は、もう過去の話だ。一夜明けたアギーレジャパンは、早くもオーストラリア戦へ切り替えていた。MF遠藤保仁(34=G大阪)は「アジア杯で当たる可能性があるし、たたいておく必要がある相手。ホンジュラス戦で築けたものにオーストラリア戦で上積みして、本大会につなげていきたい」と先を見据えた。

 アギーレ監督の哲学がすり込まれる年内最終戦になる。9、10月の4試合は、日本協会が監督人事と並行してマッチメークする必要があったため指揮官の意向は反映されなかった。しかし今月の2試合はリクエストも考慮され、交渉したもの。オーストラリアと「国際親善試合」として戦うのは98年2月15日(3-0)以来16年9カ月ぶりで、あえて同じ地域の難敵を選びチームにこう訴えている。

 「たとえ親善試合でも、同地区のライバルには絶対に勝たないといけない。W杯予選で当たる可能性がある相手に負けることは、どんな時でも許されない」

 09~10年の第2次メキシコ代表監督時代、北中米カリブ海のライバル米国に2戦2勝。その後、W杯南アフリカ大会で16強入りした指揮官の譲れない信念だ。

 オーストラリアとは、前回11年アジア杯(カタール)の決勝で延長1-0の死闘を繰り広げた。通算成績は7勝8分け7敗の五分。相手も世代交代を図っており、W杯ブラジル大会に出場したFWケーヒル、MFブレシャノ(ともに34歳)を選出した一方、20代前半の若手も多く呼んだ。そんな過渡期の敵をたたき、アジア杯の前に優位に立つ。

 順当なら準決勝で顔を合わせる。3カ月連続招集のFW武藤嘉紀(22=東京)も「真価が問われる相手」と前哨戦へ闘志を燃やした。チームは豊田市内での練習後、バスで約3時間半かけて大阪府内の宿舎へ移動。絶対に負けられないライバル対決へ、あと2日の練習でアギーレ流の吸収に努める。【木下淳】