J2札幌MF深井一希(20)が20日、札幌宮の沢で行われた札幌大との練習試合で、実戦復帰した。昨年8月の天皇杯清水戦で、右膝前十字靱帯(じんたい)および右膝内側半月板損傷の重傷を負い離脱して以来、8カ月ぶり。本職ボランチとして32分間、ピッチでアピールした。

 冷たい雨も心地よかった。札幌大との練習試合、0-1の後半23分。深井は右ボランチに入ると、DFラインに下がってボールを引き出し、縦パスを出しては精力的にゴール前に顔を出した。「久しぶりで楽しかった。約30分だったがテンポよくボールを動かし、少ないタッチでゴール前に運べるように心がけた。やりたいプレーは大体できた」。直接得点には絡まなかったが、大学生相手にリードを許す嫌な流れを、リズミカルな配球と積極的な攻撃参加で落ち着かせ、チームをコントロールした。

 11年のU-17W杯では、世代別日本代表の主力として1次リーグに臨み、強豪フランス、アルゼンチンと同組の中、グループ1位での決勝トーナメント進出と、8強進出に貢献した。高卒1年目の13年には開幕4戦目でレギュラーを奪取。その能力はバルバリッチ監督も認識しており「質が高い選手。焦らずやってほしいが、連戦中に、もしかしたら絡めるかどうか」と26日岡山戦から始まる5連戦での起用も示唆した。

 本職ボランチ競争は極めて激しい。今季は経験豊富なMF稲本、昨季主力の上里、宮沢に加え、同期の堀米、新加入のニウドもいる。ライバル5人との争いに「マイナスからのスタートだが、練習試合にも出られてるし、次の試合からでも入っていけるよう準備してたい」と気を引き締めた。

 13年11月に左膝前十字靱帯断裂の重傷を負い長期離脱。8カ月後の昨年7月に復帰も、1カ月後の8月に今度は逆足の右膝を負傷し、さらに8カ月要した。その間、4年前に世代別代表として世界と戦ったMF中島(東京)DF植田(鹿島)ら同期が、今度は16年リオ五輪目指し、活躍している。「報道を見て悔しさをかみしめている。まだ遠いけどチームで出番を得て最終的に五輪に出られるようになりたい」。長いリハビリに耐え、積み重ねた思いを、ここから存分に発散していく。【永野高輔】