清水は山形に引き分け、ホームで痛恨のドローに終わった。前半3分にMF枝村匠馬(28)の今季初ゴールで先制。12分にFW長沢駿(26)、26分にFWウタカ(31)が決めて3点リードを奪った。しかし、後半40分に失点すると、守備が崩壊。同44分に1点差とされ、ロスタイムに同点弾を献上。わずか9分間で3失点した。リーグ戦の連敗記録は5でストップするも、後味の悪さだけが残る引き分けとなった。

 「天国から地獄」のようなゲームだった。清水は前半だけで3得点を奪い、圧勝ムードすら漂っていた。しかし、一変して奈落の底に突き落とされた。3点リードの後半40分に失点すると、同44分に追加点を許して1点差。完全に冷静さを失った選手らに持ちこたえるだけの余力はなく、ロスタイムに同点とされた。4試合ぶりに先発し、2アシストしたMF八反田康平(25)は「勝てなかったことが全て」。うなだれる選手らに向けて、スタンドからは容赦ない大ブーイングが浴びせられた。

 この日は今季初めて3バックを採用し、少ないチャンスを確実にモノにした。しかし、不慣れなシステムで挑んだことが仇(あだ)となった。大榎克己監督(50)は「前で起点が作れなくなり、チーム全体が下がってしまった」。前線からのプレスが機能しなくなると、ロングボールを多用する相手に押し込まれ、はね返すだけが精いっぱいの状況になった。

 リーグ戦の連敗記録は5で止まったものの、負けに等しいドロー。今季初ゴールが空砲に終わった長沢は「しっかり考えて切り替えなければ同じことを繰り返す。この状況から逃げる場所はないし、逃げるつもりもない」と話した。

 3点リードを守りきれないのが今の実力だ。落ち込んでいる暇はなく、中2日でアウェー柏戦が控えている。大榎監督は「結果を戻すことはできない。前を向いてやっていく」と必死に顔を上げた。【神谷亮磨】