奇跡の逆転突破だ! 3位鹿島は今日5日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ最終節でホームに2位FCソウル(韓国)を迎え撃つ。4季ぶりのアジア舞台は3連敗から始まったが、2連勝で逆王手。勝てば突破、引き分け以下で敗退という明快な最終戦となった。開幕3連敗からの決勝トーナメント(T)進出となれば史上初。出場5大会連続となる決勝T行きもかけて、過去3戦全敗の天敵に挑む。

 勝つ。唯一の決勝T進出条件となる白星へ、鹿島イレブンは1時間強の公式練習をカシマスタジアムで行った。目指すは開幕3連敗からの逆転突破。達成すれば史上初だ。ACLの1次リーグがホームアンドアウェー方式になった04年以降、3連敗スタートしたのは24チーム。うち、今季の浦和とビンズオン(ベトナム)を含む23チームがすべて敗退してきた。それを覆す権利を鹿島だけが持っている。

 最終節への可能性の残し方が期待を膨らませる。勝ち点0で迎えた4月7日の広州恒大戦、同21日のウェスタンシドニー戦に連勝した。2試合とも決勝点が後半ロスタイムに生まれた。劇的な展開で13年と14年のアジア王者を連破すると、前回大会4強のFCソウルが3試合連続の引き分けと足踏み。08~11年に続く決勝T進出への望みをつないだ。

 大一番にかけてきた。万全の体調に整えるため、3日前のリーグ甲府戦で主力6人を先発から外す温存策を取った。結果、最下位相手に0-1で敗れる不覚を取ったが「違う大会なので影響はない」とMF柴崎。DF西も「休めたのは大きい」とキレが増している。

 あとは因縁の難敵を下すだけだ。FCソウル戦は過去3戦全敗。09、11年の決勝T1回戦と今年の1次リーグ第2節で当たったが、いずれもフィジカルを前面に押し出すサッカーに力負けした。球際の激しい攻防が鍵を握る中、柴崎は「ファイターぞろいの相手と戦えるか。フィジカルを凌駕(りょうが)するくらいの気持ちの強さを持って戦う」と闘志を燃やした。唯一手にしていないアジアのタイトルへ、どん底からの逆転突破を狙う。【木下淳】

 ◆ACL1次リーグで開幕3連敗から健闘したチーム 3敗発進した04年以降の計24チームの中で、最終節まで決勝T進出の可能性を残していたのは04年の上海申花(中国)。3連敗から3連勝を遂げたが、2位の磐田に及ばなかった。10年の広島は3連敗から3連勝したが、第5節に敗退が決まっていた。3連敗スタートではないが計3敗で突破したのは昨季のセントラルコースト(オーストラリア)など4チームある。