負傷者続出も総力で勝ち点1を拾った。J2札幌は愛媛に引き分け、10年以来5年ぶりの7試合連続負けなしとなった。DF櫛引一紀(22)、パウロン(25)の主力2選手が負傷欠場も、初めて3バックに入ったDF前貴之(21)ら、代わって入ったメンバーが奮闘し、今季5度目の無失点となった。5勝5分け2敗の勝ち点は20。今節勝利した長崎に抜かれ、順位は7位に落とした。

 過密日程の疲れが残る中、敵地でしぶとく引き分けに持ち込んだ。決定機は両チームともに少なかった。後半20分、MF堀米の左クロスを途中出場のFWナザリトがヘッドで合わせたシュートも、GKにキャッチされた。互いに手詰まり状態が続いた90分。それでもバルバリッチ監督は「ここまでの3試合に比べると良くないと思うかもしれないが、愛媛は力のあるチーム。最後まで我慢して勝ち点1を取れたことは悪くない」と及第点を与えた。

 主力DF陣の欠場を、チーム力で補った。櫛引の負傷離脱で、今季初めて3バックで出場した前貴が、大きなピンチもなく無失点でしのいだ。「ポゼッションやビルドアップの能力の高さが前の特長。櫛引、パウロンが出られない中、彼が自分の役割をしっかり果たしてくれた」と指揮官。10試合ぶり出場だった前貴も「ゼロで抑えたのはアピールになった」と手応えを口にした。

 これで4月5日東京V戦から約1カ月、7試合負けなし。白星が一番だが、今季はリーグ最少タイの2敗と、負けない戦いができることも大きな武器になっている。MF稲本潤一(35)は「見てる人は、面白くない試合だったと思うけど、連戦ではこういう試合は出てくる。アウェーでの勝ち点1を取れたのは、後で響いてくる」と前向きに話した。淡々とプレーするタイプだが、後半29分には愛媛MF岡崎のファウルに珍しく声を荒らげて抗議した。ベテランの闘志も2試合連続無失点につながった。

 4月26日岡山戦から2週で5戦の過密日程期間は、4試合を消化し2勝2分け1失点と守備には安定感が出てきた。その上で指揮官は「無失点は評価しているが、全体的に動きが重かった。イージーなミスで流れを遮断してしまう場面があったのは反省点」と課題を挙げた。疲れた中でやれること、やれないことを精査し、さらにチームに磨きをかけていく。【永野高輔】

 ▼札幌が愛媛と引き分け、4月5日東京V戦の1-1ドローから7試合連続で負けなし。9試合連続で敗戦のなかった10年以来、5年ぶり。リーグ戦負けなしの過去最長は、00年のJ2で17試合連続がある。