首位浦和がMF関根貴大(20)のリーグ戦3試合連発となる決勝弾で、鹿島に2-1と逆転勝利した。序盤から相手に何度も決定機を許し、後半にはオウンゴールで先制を許す最悪の展開だったが、冷静な試合運びと運動量、球際の強さで持ち直した。これで開幕から12戦無敗。リーグタイ記録(03年名古屋の13試合)に王手をかけた。

 今はどんな苦境の先にも、勝ち点3がはっきり見える。1-1の後半38分。浦和は敵陣で鹿島の選手たちに、猛然とプレスをかけた。4人がかりで取り囲みボールを強奪。「取れると思っていた」と仲間を信じたMF関根は、すでにトップスピードで前線を走っていた。

 DF森脇の縦パスを受けると、DF2人をかわし、クロスバーの内側にたたき込んだ。3試合連続ゴールは、貴重な逆転弾。怒とうのプレスでボールを奪った選手たちが、そのままの勢いで関根を倒し、上に折り重なった。歓喜のピラミッドの頂点には、なぜかDF槙野が座り、どや顔でガッツポーズしていた。

 昨年までなら完全に負け試合だった。「無敗を続けたいという気持ちがよく作用しなかった」とMF柏木。高い位置でボールを奪われては、カウンターからシュートを打たれた。前半だけで5回も決定機を許し、マンマークでパス供給源の柏木も封じられた。

 シュートにつながるクロス数で前節までリーグ1位のMF宇賀神、同3位の関根の両翼も好機をつくれない。その間に、後半22分にはDF森脇がオウンゴールをおかした。今回こそ勝てないか-。そう思わせる劣勢の中でも、選手たちは冷静だった。槙野は「メンタルケアを考えた」と、なかなか周囲の声に耳を貸そうとしない森脇に何度も声をかけて、ムリに失地回復をはかることを禁じた。

 落ち着け。いずれ流れは来るから。開幕から接戦をものにしてきた自信が、土壇場でチームを立て直した。終盤に鹿島の運動量が落ちた機を逃さず、前節東京戦でも猛威を振るった強烈なプレスで、強引に試合の流れを引き戻した。

 そして最後は戦犯になりかけた森脇が、冷静に決勝アシストを決めた。選手層、戦術、試合運び。今の浦和はすべてが充実している。槙野は「今のウチを止めるのは難しいですよ」と胸を張った。【塩畑大輔】

 ▼開幕連続不敗 浦和が開幕から12戦負けなし。J1のシーズン開幕からの連続試合不敗は、02年横浜、03年名古屋の13戦連続が最長。J1記録にあと1試合と迫る今季浦和の12戦連続は、11年仙台と並び史上3位タイとなる。11年の仙台は6勝6分けと勝ちきれない試合も多く、12試合消化時点(変則日程で第17節)では首位の柏に勝ち点1差の2位だった。今季の浦和は9勝3分けで1試合未消化ながら首位。同じ12戦不敗でも内容は浦和が上回る。