国際サッカー連盟(FIFA)汚職事件の捜査の手は、ついにブラッター会長にまで伸びた。あるFIFA理事は「周囲が動いているだけで、会長自身はあまり関与していないらしい。捜査の手が会長まで届くのは難しいかもしれない」と語っていただけに、スイス検察当局の本気度が表れたといえる。サッカー界の混迷は深まるばかりだ。

 ブラッター会長にかけられた容疑は横領など。スイス当局は2005年9月にワーナー元FIFA副会長が率いるカリブ海の組織と結んだ契約が、FIFAの利益に反し、会長として守るべき義務に反したとしている。会長は絶大な力でサッカー界を牛耳り、権力を私物化しているとささやかれてきた。

 また、来年2月のFIFA会長選に立候補している、欧州サッカー連盟(UEFA)のプラティニ会長に対する不正な支払いも容疑に含まれている。FIFAに根深く巣くう「金権体質」がまた暴かれようとしており、後継会長の最有力候補とされた人物が容疑に加担したとされる点でも、衝撃は大きい。