柏の155センチMF中川寛斗(20)が「J歴代最小兵ゴール」を決めた。

 2-1の後半40分にMF小林に代わって登場。その4分後だった。

 FW大津のシュート気味の右クロスをゴール左のFW工藤が折り返し、「今までの僕だったら、あの位置にいない」という中川がゴール前で右足で蹴り込んだ。

 今年4試合目の出場でうれしいJ初ゴール。だが驚くほど冷静にシュートを決めた。試合後は「どのボールでも丁寧にやらなければいけない。自陣にいても、中盤でも、バイタルエリアでも一緒。普段やっているパスと同じ気持ちで蹴り込んだ」と説明した。

 一方で「ゴールを決めたことで、その選手が100点というのは僕はあまり好きじゃない。ミスもありましたし、もっと突き詰めていきたい」と反省の言葉も口にした。「最初のプレーで工藤君にパスを出したんですけど、もう少し良い選択肢もあったんじゃないかと思います」。

 この意識の高さが、155センチの中川をプロの世界に押し上げた。自らの身長についても「小柄なことは僕の長所だと思っている。大きな選手も有利ですし、小さい選手も有利。うまい選手も有利だし、身体能力がある選手も有利。1人ひとり有利な部分がある」ととらえている。だからこそ、小柄な選手ならではの細かいプレーを磨き、鋭いターンでボールを奪われず、小気味よくパスを回せる選手として欠かせない存在に成長してきた。

 その上で、中川は同じように小柄なサッカー少年に向けて「僕も当時思ってましたけど、自分が好きなものは何かと考えた時に、サッカーが好きだった。それを信じ続けてプロに入れた。1番は気持ちの部分で好きというのが大事だと思う」とメッセージを送った。