山形が湘南を完封で下し、第1ステージ第11節柏戦(5月10日)以来19戦ぶりの勝利を収めた。後半26分、左CKからのこぼれ球をFWディエゴ(31)が頭で押し込み、逃げ切った。敵地でリーグ戦146日ぶりの勝ち点3を獲得し、J1残留に望みを残した。残り4戦、15位新潟を勝ち点差6で追い掛ける。

 執念でねじこんだ。後半26分。MFアルセウが一度押し込んだ左CKのこぼれ球を、ディエゴが泥臭く頭で決めた。「たまたまいいところに来た。この勝利でチームに勢いをつけられる」。苦手としてきた敵地で今季初となる勝ち点3を獲得。残留戦線に首の皮一枚踏みとどまった。

 高い修正能力を見せた。湘南に押し込まれていた前半35分前後に、石崎信弘監督(57)の指示でシステムを変更。MFフランクを3ボランチから2列目のシャドーの位置に上げた。一転、後半はハイプレスが機能し、ディエゴの先制点を引き出した。果敢なタックルでピンチの芽を摘んだMF小椋は「前線をふやしたことで、セカンドボールが拾えるようになった」と後半の攻勢を振り返った。

 シルバーウイーク3連戦で、あと1歩で勝ちを逃していた。9月23日松本戦と同26日仙台戦ではリードした10分以内に失点。GK山岸は「試合運びの緩さ、弱さでドローが続いていた。ゲーム運びを意思統一しようと話し合っていた」と、この日は“攻めの守り”を続けて、今季4勝すべてを完封で締めくくった。

 15位新潟との勝ち点差は6。石崎監督は「今日で戦い方が勉強できた。前半と同じようなことを(次の試合でも)しているとJ1に残る資格はない」と手綱を締めた。14日にJ3藤枝との天皇杯3回戦を挟み、17日にホームで甲府を迎え撃つ。自分たちが信じてきたハイプレスサッカーで、残り4試合360分を走り抜く。【高橋洋平】