J2磐田はホームで首位大宮と対戦し、引き分けに終わった。勝ち点1を分け合い、J1自動昇格圏内の2位を守った。前半6分、MFアダイウトン(24)のゴールで先制。さらに同21分にも追加点を奪ってリードしたが、後半に2失点を喫した。残りはあと7試合。悲願のJ1昇格のためには、下を向いている時間はない。

 サックスブルーに染まった空を指さしながら、アダイウトンが駆け出した。前半6分、MF川辺駿(20)からの縦パスをFWジェイ(33)が落とし、最後は右足で決めた。DF陣も上がってゴール脇に集まり、歓喜の輪ができた。さらに同21分には、MF上田康太(29)のFKからジェイがつないだボールを、豪快に決めた。前節アウェー北九州戦(9月27日・3-2)で91日ぶりに得点を挙げ、勢いそのままに2試合連続の2得点。「少しゴールから遠ざかっていたけど、2試合連続の得点は個人的にはいいこと」と控えめに喜んだ。

 地道な努力が、2戦連発という結果を生んでいる。8月末、天皇杯開催のためリーグ戦が中断した。その間の約10日間、クラブからアダイウトンにオフが与えられた。だが、母国ブラジルには帰らず、日本に滞在。さらに毎日ランニングを欠かさず、コンディションの維持に努めた。また練習後にジェイと話し込み、お互いの連係を確認し合うなど、日頃の成果が首位決戦での得点につながった。

 しかし、満員のスタジアムに勝利の凱歌(がいか)を響かすことはできなかった。チケットは完売。今季最多の入場者数1万3569人の前で勝ちきることができなかった。後半は最終ラインが下がり、3試合連続で後半に2失点。名波浩監督(42)は「勝ち点2を失ったゲームと言わざるを得ない」と話した。それでも、6戦負けなしで2位を死守。監督は「継続できているのはいいこと。後ろや下を向く必要はない」。J1昇格へ、試合は続く。【保坂恭子】