またロスタイム弾で勝った! 札幌は徳島を下し、2連勝となった。前半ロスタイム2分にMF宮沢裕樹(26)が先制ゴール。この1点で勢いに乗り、後半5分にFW都倉賢(29)が追加点を挙げ、DF陣も5試合ぶり完封で締めた。残り2戦で勝ち点54。第40節の残り10試合は今日8日だが、暫定6位との勝ち点差を3まで詰め、プレーオフ(PO)進出の可能性を次節以降につないだ。

 崖っぷちの札幌が、2戦連続の“ぎりぎり弾”で踏みとどまった。前半終了間際のロスタイム2分、都倉のダイレクトパスに宮沢が走り込んだ。ゴール前には、FW荒野もいた。「相手が裏への攻撃を警戒していたから、3人目の動きを狙っていた」。荒野の背後から抜け出し、完全に相手DFのマークをはがす。最後は「体勢的に右では難しかったので左で流し入れた」と、ミート重視で確実に枠をとらえた。

 前節千葉戦は後半ロスタイムに決勝弾。今回は前半も、四方田監督は「前半最後で得点できたのがプラスだった」と終了間際のワンパンチをたたえた。3年目のDF永坂のJデビュー戦とあって、試合前ミーティングで「永坂のために勝とう」と全員で誓い、臨んでいた。0-0の均衡を破る一撃に、永坂も「点を取ってくれてやりやすくなった。裕樹君に感謝です」と喜んだ。

 室蘭大谷高から08年に加入した道産子10番は、頼れる大人になった。昨夏結婚。7月には第1子の長男を授かり、車を、スポーツタイプから7人乗りのワゴンに替えた。今季、3年ぶりに札幌に復帰した沖田コーチは言う。「札幌に戻って、一番驚いたのは裕樹が率先して声を出していたこと。もう僕が指導していたときの若手じゃなかった」。ボランチとして、守備はもちろん、パスを出し、ゴール前にも顔を出す。献身的なプレーでチームを引っ張った。

 この1勝で、今日8日の5~7位チームの結果次第では、最終節23日栃木戦までPO進出の可能性が残る。「次も勝って、最終戦をいい環境で戦えるようにしたい」。大逆転POへ、まだまだ、あきらめない。【永野高輔】