浦和の日本代表組、DF槙野智章(28)とMF柏木陽介(27)が、今季限りの退団が決まっているMF鈴木啓太(34)に花道を準備する。前日夕刻にW杯予選を戦ったカンボジアから帰国し、19日からクラブの練習に合流。22日のJ1最終節神戸戦に向け、ランニングなど軽めの調整を行った。

 柏木は12日のW杯予選シンガポール戦で先発に抜てきされて好プレー。さらに後半から投入された17日のカンボジア戦では、前半の苦しい流れを好パス連発で一変させ、2-0の勝利に大きく貢献した。

 帰国の羽田空港では多くの報道陣に囲まれ、LINE(ライン)には試合終了と同時に、100人近くからメッセージが殺到。神戸戦のプレーも注目されるが、柏木は「それよりおれたちは今季最後のリーグ戦、啓太さんがいるチームで勝ちたい」と言った。

 「ここ数年、最終節で勝ててないという現状もある。しっかり勝てれば、それで広島が勝っても、いいシーズンだったと振り返ることができると思う」。長年チームを引っ張ってきた先輩との最後の共演に向け、代表モードから早々に気持ちを切り替えた。

 槙野も同様だ。「神戸戦は何としても、啓太さんが試合に出られる流れにしたい」と意気込む。年間首位がかかる一戦だけに、今季は出場機会が少なかった鈴木が先発する可能性は低い。柏木とMF阿部がボランチでコンビを組む、いつもの布陣で試合はスタートする見込みだ。

 となれば、ゴールラッシュで試合の行方を決し、鈴木の出番を自分たちでつくるしかない。神戸相手のリーグ戦白星は12年4月が最後。無敗のまま第1ステージ優勝を決めた前回の対戦も引き分けだった。決して簡単な試合ではない。それでもクラブを長く支えてきた大先輩のために、何としても花道をつくる。