元日本代表監督の岡田武史氏(59=FC今治オーナー)が、2日に始まるJリーグチャンピオンシップ(CS)決勝の第2戦(5日)でスカパー!の解説を務める。横浜監督時代の04年に前回CSを制した知将が決勝の展望を占った。

 決勝はホームアンドアウェーだ。一発勝負だった準決勝と比べて、より采配の醍醐味(だいごみ)を味わえる。2試合を通してどう戦うか。ものすごく面白みのある対決になると思う。

 11年前は浦和の方が絶対的に力が上で、横浜は負傷者だらけだった。その状況でミニ合宿(完全非公開の2泊3日)をして「1つだけ勝つ方法がある」と説明した。でも、第1戦で使うと第2戦で対策される。「第1戦は、つまらない内容で引き分ける。第2戦で勝ち逃げだ」と言った。しかし、その形で第1戦を勝ってしまった。どうしよう。困っていたら、第2戦は退場で数的不利になって守るしかなくなった。それが逆に良かった。短期戦ではプランと現実のギャップをどう埋めるかが重要になる。

 G大阪は、広島との力関係を考えればホームで勝ち点3を取っておきたい。広島は浦和と同じように前線5枚が張ってくる。合わせて下がれば術中にはまる。怖がらず、逆サイドが空いても、そこへ蹴らせないサッカーを貫きたい。それを健太(長谷川監督)は準決勝で遂行した。ほとんどのチームや選手が下がってしまう中、非常に勇気があった。決勝でもやるはずだ。

 そして最後は、戦術より精神面が大事になる。04年の第2戦は退場して10人になった後、あえてFWを投入した。メンタルがどんどん落ちる中、何とか「怖がるな」と鼓舞するために。何が何でも勝つという闘争心は、へたな戦術など凌駕(りょうが)するからだ。

 スカパー!はCS第2戦(5日午後7時放送)の中継ゲストに、元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏を迎える。岡田氏、元日本代表の水沼貴史氏とともに熱戦を盛り上げる。