MF澤穂希(37)がPK締めでムードをグッと高めた。INAC神戸は22日、神戸市内で翌日の仙台戦に向けた最終調整を実施。負ければ現役引退となる試合に先発する澤は、全体練習の最後に苦手なPKに挑戦した。

 澤が「嫌だ、嫌だ」と悲鳴を上げた。PK練習のラストに松田監督からサプライズで指名された。仲間にはやし立てられ、ボールを置く。右足を振り抜くとゴール左に成功させた。仲間を大喜びさせて最高のムードで練習を終えた。「(ボールを)置きにいって外すより、思い切り振った」と笑った。

 PKは06年アジア大会決勝の北朝鮮戦で外したことでトラウマに。11年W杯ドイツ大会決勝米国戦のPK戦も「無理、無理、無理」と順番を10人目にしてもらい、蹴ってない。「練習は意外と入るけど。好きじゃない。まあ蹴らないから大丈夫です。90分で決着をつける」と宣言した。

 対戦する仙台は夫の辻上裕章氏(39)が運営・広報部長を務める。「夫婦ダービーなんで。絶対に負けられない。他のことは譲ってもそこだけは譲れない」。リーグ戦は2勝1敗だった。「目の前の試合に勝ちきる。そして優勝したい」。今季無冠のチームにタイトルをもたらして、有終の美を飾る。【益田一弘】