G大阪がクラブ史上2度目の連覇に王手をかけた。広島との準決勝でエースFW宇佐美貴史(23)が2試合連続の2得点。FW長沢駿(27)が3点目でダメを押し、完勝した。チャンピオンシップ(CS)で敗れ、リーグ連覇を阻まれた広島にリベンジを果たした。来月1日の決勝で浦和と激突する。

 年の瀬にエースが完全に目を覚ました。15年締めくくりの一戦。宇佐美が2得点と大暴れした。前半7分、素早く左足を振り抜き相手DFの股の下を通してゴール。さらに後半29分にも左足で決めた。ゴール裏のサポーターのもとへ駆けつけ、左胸のエンブレムをしっかり握った。

 「1点目は異様に落ち着いていた。アイデアが湧いてきますし、自分のゴールが勝ちにつながっている。決断が、決定機になった時にひと呼吸つけて、できている。2点目はみんなの気持ちが乗り移ったゴールだった」

 反骨心を忘れなかった。広島にはリーグ戦で連覇を阻まれた。CSで2戦合計3-4。惜しくも頂点に手が届かず、クラブW杯にも出場できなかった。長谷川監督は「何としてでも広島をたたくという強い気持ちが今日の結果になった」。MF遠藤主将も「ここまで全部のタイトルを狙える位置まできたが、取れていなかった。タイトルを取るのと取らないのでは違う」と、昨年3冠のプライドを持っていた。

 頼れる男の復活が何よりの収穫だ。公式戦11試合連続無得点だった宇佐美だが、24日のクリスマスイブに長女(第1子)が誕生してから2戦4発。この日に退院するまで病院に通い、わが子に力をもらった。「守るものが1人から2人に増えて、より結果を出さないといけないと思うようになった」。約1カ月前から練習後に軽いランニングで調整するようになった。「スピードを変えて、脈拍を変えながら有酸素(能力)を向上させている」。父親としての自覚がエースの再起を後押しした。

 6大会ぶりの連覇まであと1勝だ。決勝の相手は浦和。指揮官は「元日に素晴らしいゲームをして、最後は勝って終わりたい」。宇佐美も「全員で笑顔で終われるようにしたい」と言い切った。ナビスコ杯とリーグ戦でV逸した。今こそ、G大阪の集大成を見せる。【小杉舞】