第94回全国高校サッカー選手権が30日、東京・駒沢陸上競技場で開幕した。

 東北勢6校が開会式に臨み、今日31日の初戦に向け、明るく元気に行進した。1月に東京Vユースから転籍してきた青森山田MF神谷優太(3年)が、最初で最後の選手権で初優勝に導く。同校OBで同大会応援リーダーを務める鹿島MF柴崎岳(23)から激励VTRも届き、大社(島根)との初戦に闘志を燃やした。

 青森山田を初優勝に導き、憧れの柴崎先輩超えを果たす。神谷は選手権を前に、柴崎から届いた激励VTRで「同じプロに入る選手なら、どれだけ目立てるか」とハッパを掛けられていた。「どれだけ自分ができるか楽しみ。日本一しかない」。卒業後J1湘南に入団が内定している神谷は、このメッセージに闘志を駆り立てられた。

 2年生ながら背番号10を背負い、09年度大会で準優勝に導いた柴崎と姿が重なる。次は神谷が伝統の番号を背負い、初Vに導く。「10番をもらったときは重さを感じたけど、今はその重さを楽しみながらやっている。柴崎さんより1つ上のレベルでやりたい」とさらなる成長に自信を見せた。

 現状を打破した。小6で山形市から母由紀さんと上京し、入団した東京VジュニアユースでU-16日本代表に選出。同ユースでは東京都選抜で国体優勝を果たしたが、1月に青森山田高への転籍を決断した。「技術的に伸び悩んでいて、環境をかえたかった。柴崎さんの準優勝を見ていたから選んだ。この1年間で成長できたし、決断は間違ってなかった」と胸を張る。

 6日に閉幕した高校最高峰のプレミアリーグEASTでは勝ち点差1の過去最高位の準優勝に輝き、満を持して本番を迎える。「勝ちきれなかったのが課題。気を引き締めてやっていきたい」。スピードあるドリブルで切り裂き、決定的なラストパスで得点も演出できるMFで、柴崎と同じ中盤で攻撃陣を操る。

 今日31日の大社との初戦は、一緒に上京してくれた母由紀さんも観戦する。「選手権で成長した姿を見せる」。最初で最後の選手権。神谷の目には、優勝の2文字しか映っていない。【高橋洋平】