7季ぶりの優勝を狙う鹿島が、G大阪との開幕戦で痛快に白星発進した。初の公式戦を迎えた市立吹田スタジアムに乗り込み、1-0で初勝利をマーク。後半27分、U-23(23歳以下)日本代表候補のFW鈴木優磨(19)が、途中出場で決勝ゴールを奪った。同代表の手倉森監督が視察したアウェー戦で結果を出し、8月のリオデジャネイロ五輪メンバー逆転選出を猛烈にアピールした。

 G大阪にかかわる人すべての思惑を吹き飛ばした。記念すべき吹田スタのJ1初ゴール。記録したのはアウェー鹿島の19歳FWだった。後半27分、MFカイオの柔らかい右クロスに鈴木が走り込む。全力疾走から跳躍、元日本代表DF今野も吹き飛ばしながら頭で押し込んだ。途中出場から3分後の大仕事。新スタジアムの一角で沸く鹿島応援団の前で右拳を振り上げた。師と仰ぐのは、クラブの得点数歴代1位を誇る長谷川祥之氏。01年に本拠カシマのオープニングゲームで決勝弾を決めた人だ。直伝のヘディングで教え子が決めたのは吹田スタ初戦での決勝ゴール。不思議な縁だった。

 昨年9月12日のホームG大阪戦でプロデビュー&初ゴール。今度は敵地で、3万2463人の多くを落胆させた。「新しいスタジアムの応援を受けて相手は勢いづいていた。苦しい時間帯が多かった中、1点を守り抜けた意味は大きい」。試合後は、得点の起点になったFW金崎から「お前が取った試合なんて負け試合だよ」とイジられたが、ポルトガルから電撃復帰したエースから主役を奪った。

 22日の大学生との練習試合で負傷退場。左足首を痛め、復帰できたのは3日前だった。病み上がりだったが、視察した手倉森監督を喜ばせた。「持ってるね。迫力があった。カイオと同時に入った時点で点を取りそうな気がした」。最終予選は予備登録止まりだったが、記録にも記憶にも残る吹田スタ弾で名を上げた。

 今季の目標は「3冠と2ケタ得点。(金崎)夢生君より多く点を取りたい」。日本代表FWと競争中の19歳。五輪イヤーの開幕戦で勢いに乗り、早ければ3月のポルトガル遠征での招集もありそうだ。【木下淳】

 ◆鈴木優磨(すずき・ゆうま)1996年(平8)4月26日、千葉県銚子市生まれ。小学1年の時に鹿島のスクールでサッカーを始め、鹿島ジュニアユースからユース。高校3年時のJユース杯で優勝した。14年に2種登録され、15年にトップ昇格。今季から、疲労回復のため試合中にガムをかみ始めた。J1通算8試合3得点。利き足は右。180センチ、68キロ。