仙台はアウェーで柏に1-0で勝利した。23日の新潟戦(○1-0)に続く、今季初の連勝を決めた。後半24分にMF富田晋伍(29)が、自身ナビスコ杯5年ぶりとなる「ラッキーな」ゴールを決め、これを全員で守りきった。キャプテンの一撃で勝ち点を6に積み上げ、グループリーグ首位をキープした。

 遅咲きのシンデレラボーイが試合を決めた。富田は決勝点となる1発を決めるとゴール裏へ一直線。会場の日立柏は客席とピッチが非常に近く、手を伸ばせば触れ合える距離。歓喜に沸くサポーターと手を合わせようと両手を伸ばしたが…「届きませんでした(笑い)。思ってたより少し遠かったですね」と苦笑した。

 「全てが完璧ってわけじゃないから」と富田。だが、奪ったゴールは完璧だった。後半24分、途中出場のMF水野が右サイドをドリブル突破した脇をDF菅井がオーバーラップし、ボールを拾ってクロスを上げた。ボールは相手DFに当たり角度を変え、富田の足元へドンピシャでやってきた。一瞬の隙もなく、右足をダイレクトで振り抜くとネットが揺れた。狙い澄ましたような素晴らしいゴールだった。しかし本人は「たまたまのラッキーゴール」と、驚いたような表情で偶然を強調した。

 「攻めの意識」が生んだ決勝点だった。初めて主将を務めた昨季は「自分のことよりチームのバランスなどを考えていて頭がいっぱいだった」と孤軍奮闘。2年目の今年は、主将として、ボランチとして「目に見える結果にこだわる」とキャンプ時から意識を変えて臨む決意を固めていた。「今年は周り(の選手)の力も借りながら結果につなげることにこだわりたい」。

 チームもボランチやサイドバック(SB)が積極的に加勢することを方針とする。「ボランチで点を取れれば大きな役割になる。これからはリーグ戦でも(ゴール前に)顔を出し、点に絡んでいけたら」。武器はボール狩りの才能だけじゃない。新たなストロングポイントがひとつ実を結び、勝利へと導いた。「勝ちきることができて良かった。連勝することでチームは成長できる」と力強い。進撃のキャプテン率いるベガルタが、連勝街道を突き進む。【成田光季】