開幕7戦未勝利にも、闘将に迷いはなかった。J2山形GK山岸範宏(37)が12日、ホーム札幌戦(17日)に向けて闘志をたぎらせた。天童市内で行われた2部練習をいつも通り一番後に引き揚げた。「結果が出ないときこそ、ブレないで原点に戻ることが必要。その原点は何なのか。戻るべき場所があればすぐに戻れるはず」。あらためてチームが掲げる「J1昇格」に集中すべきと強く訴えた。

 勝利から見放され、ハードワークが売りの石崎山形から積極的なプレーが鳴りを潜めてしまっている。「結果が出てないから弱気になるのも分かる。でも日々積み上げてきた努力が、そのことですべて崩れるわけじゃない。自信をなくさないこと。勇気を持ってプレーすることが大事」。悪循環を断ち切るのは、自分の気持ち次第だと熱く語る。

 山岸も浦和時代の02年のJ1第2ステージで6連敗を喫したことがあった。苦境にもブレずに乗り切れたのは、徹底的に自分を追い込んでつかんだ自信だった。「誰だって完璧な選手はいない。俺はこれだけやってきたんだという強い気持ちを持たないと」。だから今でもチーム最年長ながら練習では人一倍汗を流し、最後に練習場を後にする。

 次節札幌戦はケガ人続出で、追い打ちを掛けるようにMFアルセウ、DF宇佐美が出場停止。苦境になるほど燃える山岸は力強く宣言した。「勝たなくていい試合なんて1つもない」。闘将の目には勝利しか映っていない。【高橋洋平】