横浜FCのFWカズ(三浦知良、49)が東京V戦で先発し、先制点の起点になった。DF市村篤司(31)の妻子が熊本・宇土市に帰省中に被災。試合前は「市村の家族のために」と声をかけ合いピッチに立った。試合は引き分けたが、ベテランの奮闘で勝ち点1を積み上げた。カズは横浜FCで06~08年まで熊本・大津でキャンプをした縁もあり、被災地の現状を気遣った。

 カズは、被災地の熊本を思いながら今季2度目の先発のピッチに立った。市村の妻子が宇土市で余震におびえながら車中生活を送っている現状も聞いていた。07年の合宿中、天守閣に登った熊本城が変わり果てた姿は、テレビで見て心が痛んだ。「熊本が非常に難しい状況で、試合をやっていいのか…との思いもあった。でも、やる以上は全力で集中して(被災地が)少しでも明るくなれたらという気持ちでピッチに立とうと思った」。試合前には「市村の家族のためにも勝とう」と仲間を鼓舞した。

 前半22分。カズはスローインのボールをトラップすると、右サイドを駆け上がったMF小野瀬へ縦パスを入れた。小野瀬からFWイバを経由し、MF寺田がゴール。先制点の起点になった。前半終了間際には、相手のミドル弾に体を投げだしてブロックし、攻守で奮闘した。

 Jリーグ最年長出場記録を49歳1カ月22日に更新し「ホームで勝ちたかったけど、いい形で得点に絡めたのは良かった」と手応え。今季最長の66分の出場に「少しでもピッチに立っていたい。これからも徐々に出場時間を伸ばしていければ」と話した。

 23日はアウェーで熊本戦が控える。地震の影響で開催の可否は不透明だが、カズは「僕らは全力でいい準備をしてプレーしたい」と意気込んだ。思い出の熊本城にも「本当にギリギリのところで支えているように見える。大事な日本の財産が失われるのはショックですけど、何とかみんなの力で支えていければ」とエールを送っていた。【岩田千代巳】