J2札幌は山形に1-1で引き分けた。前半11分に失点したが、後半途中出場のFW内村圭宏(31)の今季初ゴールで追いつき、アウェーで勝ち点1を拾った。順位は前節終了時の3位から暫定4位に落ちたが、自動昇格圏2位町田との勝ち点差は3をキープした。今季、追い付いてのドローは初。粘ってつかんだ勝ち点を弾みに、次節23日は、ホームでの首位C大阪討ちを目指す。

 札幌が雷鳴でリセットし、価値あるドローに持ち込んだ。0-1の後半14分、FWジュリーニョの縦パスに抜け出した都倉が右サイド深い位置からクロスを入れると、左から猛然と駆け上がってきたFW内村がDFの隙間からゴール前に進入。滑り込みながら右足で押し込んだ。「最後は当てるだけ。イメージ通り」。後半開始から出場した13番が、独特の嗅覚で今季初ゴールをたたき込んだ

 大きな同点弾だった。前半11分に失点。苦しむ中、同37分、スタジアム付近の落雷で、39分間の中断を挟んだ。集中力を維持するのが難しい戦いだった。「先制され苦しい展開の中、中断もあったが、それでも何とか取り返そうという姿勢を見せられたのは良かった」と四方田監督。悪い流れを、途中出場のキーマンの一撃で取り戻した。

 内村にとっては、昨年11月10日に第1子となる長女香咲(かえ)ちゃんが誕生後、初ゴール。昨季は10月25日大分戦以降、恥骨痛で、シーズン終了まで離脱しており、キャンプもほとんどが別メニュー調整だった。その影響で、今季はここまで8試合連続途中出場。難しい役回りをこなしながらのパパ1号に「ほっとしている」と振り返った。

 熊本地震も、人ごとではない。16日午前1時25分、熊本で震度6強の地震が発生した際、実家のある大分市も震度5弱と揺れた。ニュースを見て、すぐに両親の安否を確認した。「そわそわした気持ちがあった。でも自分より熊本の人たちの方がずっと大変なので」。不安な思いを胸に閉じこめ、サッカーに集中した。

 次はホームでの首位C大阪戦。当然、1点取ったら次も貪欲に狙うのが内村流だ。「追いつけたのは良かったが、2点、3点とたたみかけられるように」。前線を引っかき回し、8戦無敗の相手に土を付ける。【永野高輔】