J2清水FW大前元紀(26)の劇的な決勝ゴールで、チームに貴重な勝ち点3をもたらした。
北九州に2-1。前半1点を奪われるも、後半2分に追いつき、ロスタイムに大前がダイビングヘッドで決めた。今季初の逆転勝利で、2009年以来7季ぶりのアウェー4連勝。熊本地震後、初めて九州開催の試合で最後まで諦めない姿勢を見せ、J1昇格争いに光明を見いだした。
全身ずぶぬれになった大前が、両手を広げゴール裏に向かった。北九州まで駆けつけた約400人のサポーターと喜びを分かち合うためだ。1-1で迎えた後半ロスタイム、右サイドMF河井陽介(26)のクロスに合わせダイビングヘッドで決めた。今季6ゴール目で得点ランク首位タイに立った。今季は先月6日の長崎戦、今月3日の熊本戦でも2得点ずつ挙げており、九州で5点目となった。「何回もチャンスがあったのに決めていなかったので、最後に決められ良かった。今日の勝ちはデカイ」と喜んだ。
確かに「デカイ」1発だった。J1昇格争いのライバルC大阪に加え、伏兵の町田が勝ち点を伸ばして負けられない状況。その中で前半40分に先制された。大前は何度も攻撃の起点となり、ハーフタイムには小林伸二監督(55)が「元紀に頼りすぎている」と指摘するほどだったが、後半も貪欲にチャンスに絡み続けた。同2分には右からのクロスに飛び込み、相手のオウンゴールを誘った。
チームは戦力面でも苦境に立っている。FWミッチェル・デューク(25)が、21日の練習で膝を負傷。長期離脱の可能性もあり、大前はいつも以上に強い気持ちでピッチに立っていた。
熊本地震後、初めて九州開催の試合であることも意識していた。試合前には、両チームの選手が一緒に「がんばろう 九州」の横断幕を掲げた。「今、九州は厳しくて難しい状況だと思う。自分たちはサッカー選手として、サッカーで勇気づけたいと思っていました」。その姿勢は、最後まで勝利をあきらめず、走り続けてものにした決勝弾で証明した。
チームはアウェー4連勝で、首位町田とは勝ち点5差。大前は次節ホーム金沢戦(29日)に向け、「いい勝ち方ができたことは自信になる。ホームにつなげたい」と言った。頭の中にあるのは、今季ホーム初勝利と連勝街道だ。【保坂恭子】



