J2熊本は、リーグ復帰後初のホーム戦となる水戸戦を、白星で飾ることはできなかった。ホームうまかな・よかなスタジアムが地震の影響で使用できないため、柏の本拠地・日立柏サッカー場で開催。それでも詰め掛けた観客8201人から、クラブの枠も超えて声援を送られた。0-1での敗戦と、得点もならなかったが、チームが地震からの復興の象徴になっていることを印象づけた。

 うだる暑さで、足が止まった。水戸戦の後半。熊本は運動量が落ちたところで、水戸の反撃を受け始めた。同36分、クロスを水戸FW三島に押し込まれ、決勝弾を許した。主将のMF岡本は「100%ではないにせよ、コンディションは上がってきていた。言い訳はできない」と唇をかんだ。

 地震後初のホーム戦は、特別な雰囲気で行われた。地元熊本開催がならず、遠い関東での試合になったが、それでも8000人を超える観客が集まった。熊本のユニホームだけでなく、京都、徳島などJ2の他クラブのレプリカを着たサポーターが目についた。さらには浦和、鹿島、東京、横浜などJ1勢もいた。

 サポーターは「ここに来ることが支援になると思った」と口をそろえた。FW巻も「めったにないこと」とクラブの枠を超えた支援に感謝した。テレビ番組の企画で、熊本の1日社員を経験したお笑い芸人、スピードワゴン小沢も来場。誘い合わせたフルーツポンチ村上、小島よしおらと募金活動に汗を流した。

 リーグを挙げ、熊本を支援する。一体感のもと、最高の雰囲気がつくりあげられた。それだけに巻は「勝ちたかった」と悔しがった。池谷社長は「いつも勇気づけられてばかりじゃなく、我々が被災地を勇気づける戦いをみせないと」と巻き返しを誓った。【塩畑大輔】