再び得た自信を、確信に変えてみせる。22日、さいたま市大原サッカー場。浦和の全体練習終了後、MF関根貴大(21)は居残りで、左からのセンタリングを入念に蹴り込んだ。

 23日のアウェー鹿島戦では、MF宇賀神が出場停止。そのため関根は前節までの右サイドではなく、左で起用される見込みだ。

 「左では左なりの自分の良さがある。縦への突破からのセンタリングだけでなく、中にも入っていきやすい。そういう意味ではやれることは増えるので、よりよい判断をしたい」

 昨年5月の鹿島戦でも左サイドで起用され、中央に切り込んでのシュートで決勝点を挙げた。ゲンのよい形で、第1ステージではホームで敗れた宿敵とのリターンマッチに臨む。

 試練の時を乗り切りつつある。前節大宮戦。後半14分に、右からのクロスでMF武藤のヘディング弾をアシストした。

 リーグ戦12試合ぶりゴールの武藤を、もみくちゃにして祝う輪ができた。そこから少し離れたところで、関根は拝むように両手を合わせて、しみじみと喜びをかみしめていた。

 「久しぶりに得点に絡んで、すごくうれしかったんです。右からアシストするのは、今季初でしたし」

 定位置を確保した昨季に続き、今季もここまでリーグ戦全試合に出場している。しかしプレーには、昨季ほどの勢いがなかった。大宮戦以前は計1得点、2アシストどまり。結果の上でも、同じ時点で5得点5アシストだった昨季を大きく下回っていた。

 特にクロスでチャンスをつくる場面が、非常に少なくなった。MF李、柏木などからは「サイド攻撃に怖さがないから、相手が『中央突破さえ防げれば』と真ん中を固めてくるようになった」と断じられた。

 「これでは中央の(興梠)慎三とかがスペースがなくて苦しくなる。サイドの選手には本気でクロスの質を高めてもらいたい」。厳しく指摘され、責任を感じていた。

 「すごく言われていました。お前のクロスは何なんだと。正直、焦りとかプレッシャーはありました」

 アシスト後。苦言を呈していた柏木が、真っ先に駆け寄ってきた。そして「やっとアシストできたな」と頭をなでてくれた。

 「これで終わりじゃないですけど、それでも久々に、自分はやっていけるなと思うことができました。ああいうプレーができていたのに、今年はまったくできなくなっていた。でもようやくきれいな形で決まって、本当にうれしかった」

 久々に感じた喜び。しかし本人がいう通り、これで終わりではない。1つの壁を乗り越え、成長できたのか。難敵鹿島はサイドにも、駆け引きにたけた選手をそろえる。関根にとって、この試合は格好の「試金石」になる。【塩畑大輔】