第2ステージ(S)逆転優勝を狙うG大阪が宿敵に競り勝ち、4試合ぶりの白星をつかんだ。ホームの広島戦は後半7分、MF阿部浩之(27)が狙いすました右足のミドルシュートを決めて1-0の完封勝利。昨季のチャンピオンシップ(CS)決勝で敗れた広島を破り、首位川崎Fと勝ち点5差を守って6位に浮上した。今季のCS出場には第2S優勝が現実的なG大阪にとって、反撃開始の1勝となりそうだ。

 思い切って右足を振り抜いた。0-0の後半7分。G大阪のMF阿部は相手選手に当たったこぼれ球を拾うと、カーブを描きながらゴール右に決勝点をたたき込んだ。今季全3得点は、すべて新本拠地吹田Sで刻んだ。昨季の年間王者を破る貴重な1点となった。

 「いつも狙っていたところ。ちゃんと(右足に)当たってくれた。ここ最近、惜しいシュートが多かったので、後は決めるだけだった」

 阿部にとって苦しい第2Sだった。スコアレスドローに終わった13日大宮戦と17日福岡戦。決定機でシュートを放ちながらも無得点に終わった。23日柏戦前の練習では責任を感じて落ち込む阿部に、長谷川監督から「今のままじゃ裏のエース。表のエースに名乗り上げるぐらい自分で決めて、勝たせるようになれ」とハッパを掛けられていた。

 6試合ぶりに決まったゴールに、関学大出身で入団5年目の27歳は「自信を持っていこうと。(監督の)期待に応えるだけだった」。指揮官も「迷いなく彼らしいプレーをしてくれた」と目を細めた。

 鹿島が優勝した第1Sは6位に終わった。11試合を残す第2Sは、首位川崎Fと勝ち点5差の6位で逆転優勝圏内にいる。2年連続のチャンピオンシップ出場へ、最大の目標は優勝しかない。長谷川監督は「何とか優勝戦線に残るために勝つことが絶対条件だった」。エース宇佐美がドイツへ移籍し、リオ五輪でMF井手口とDF藤春が不在の今夏、阿部が頼もしい救世主となる。【小杉舞】

 ◆阿部浩之(あべ・ひろゆき)1989年(平元)7月5日、奈良県生まれ。大阪桐蔭高、関学大を経てG大阪入り。攻撃的MFとして昨季は33試合4得点。170センチ、69キロ。