コンサドーレ札幌は敵地で山口に2-1で勝利し、首位の座を守った。前半21分にFW都倉賢(30)が先制ゴール。38分にはMFジュリーニョ(29)が豪快ミドルで追加点を奪うなど、先発した2トップが機能した。これで6月13日長崎戦から9戦負けなしで、17勝5分け3敗、勝ち点は56。暑さが厳しくなる7月ラスト3戦を3連勝で締めたのは、97年以来19年ぶりとなった。

 チーム得点王の一撃が、勝利への呼び水となった。0-0の前半21分、DF福森の右CKを、左奥から斜めにゴール前に進入。ニアサイドから打点の高いヘッドで、逆サイドに流し込んだ。「福森が練習通りのいいボールを蹴ってくれたので、僕は自分の高さを生かすことができた」。梅雨明け後初となるアウェー。酷暑の戦いの中、チームを優位に立たせる、価値ある先制点になった。

 20日松本戦では、約14メートルの距離から強烈な決勝ヘッドを決め、首位攻防戦勝利に貢献した。25日の前節岐阜戦は前半7分、ジュリーニョとのパス交換から先制点をアシスト。3戦連続で攻撃のスイッチを入れるプレーで、19年ぶりの7月3連勝締めに貢献した。90分走り抜いた後はがっくりとピッチに腰を落としたが「苦しい展開の中、泥臭く勝ち点3を取れたのは良かった」と振り返った。

 2戦ぶり得点は、得点ランク1位の清水FW鄭、C大阪FW永井に1差と迫る12点目。昨年の自身の13点にもあと1となった。好調の陰には天才のさりげない“アシスト”がある。今季、MF小野が、クラブハウスのリラックスルームに人気漫画「ワンピース」を全巻提供。7月に入り都倉は、この漫画を手に取った。「前に出ていた話が伏線になって、あとの話につながるところが面白くてはまった」。勝負師にはメリハリが大事。激しい練習後の心地よい癒やしを生む絶妙な“パス”が都倉の破壊力の、きっかけになった。

 後半戦初のアウェー勝利で、勝ち点を56に伸ばした。2位松本と勝ち点5差、自動昇格圏に絡む3位C大阪とは、今季最大8差と引き離した。次節はホーム札幌ドームでの清水戦。直近2戦4発と爆発中のFW鄭がいる。「目の前の1戦に全力を尽くすだけ」。9番が再び難敵からゴールを奪い、J1への勢いをつけていく。【永野高輔】