浦和がホームで神戸に4-0で完勝し、3年ぶりの4強に駒を進めた。敵地での第1戦を2-1で制して有利な状況だったが、前半30分にペトロビッチ監督が退席処分。この危機をMF高木俊幸(25)が3得点に絡む活躍で救い、2戦合計6-1で準々決勝を突破した。10月5、9日の準決勝で東京と対戦する。4強が出そろい、もう一方は横浜-G大阪となった。

 前半30分、相手タックルをノーファウルで流され、浦和ペトロビッチ監督が激高した。ピッチに踏み込んで退席処分。12年の就任後初の事態だったが、嫌な空気を高木が吹き飛ばした。9分後、自陣ゴール前からのカウンターでGK徳重と1対1になり、重心を外して右足でゴール左へ。「初戦で決めていたので落ち着けた」。第1戦に続く高木の先制弾で均衡を破った。

 3分後にはPKを獲得。昨年7月の広島戦で失敗しており「苦い思い出が…。ボールを拾いにも行かなかった」とキッカーこそMF阿部に譲ったが、後半15分には2点目だ。ペナルティーエリア手前からDF2人をかわし、右足でゴール右隅を射抜いて計3点に絡んだ。スタンドでガラス越しに拍手を送った指揮官を4強に導き「本来の自分を、仕事ができる自分を見せられた」。2年目の今季はリーグ無得点。「ベタですけど、悔しさをバネに力を発揮できた」と胸を張った。

 日本代表で西川、遠藤、柏木、負傷で槙野を欠く上に、第1戦で梅崎が左膝前十字靱帯(じんたい)を損傷して長期離脱した。そこに指揮官の退席。準決勝第1戦を指揮できなくなったが、この逆境が高木を突き動かした。過去2年は8強止まりだったが、準優勝した13年以来3年ぶりのベスト4に進んだ。【木下淳】