新潟は5日、聖籠スポーツセンターで練習した。3日間のオフ明けのトレーニングは、午前、午後の2部練習だった。午前はポゼッション中心、午後はミニゲームを繰り広げた。リオ五輪代表FW鈴木武蔵(22)は、22日の次節ホーム浦和戦へ、切れ味鋭い動きを見せていた。

 爆発的な加速だった。狭いスペースで繰り広げた「6対3」のポゼッション。FW鈴木はボールを持つMF小林裕紀(27)へ一気にトップスピードで詰め寄った。鋭いスライディングのチェックで、両足を投げ出す。ボール奪取はできなかったが、野性味あふれるプレー。9対9のミニゲームでは、瞬時にDFの裏に飛び出し、DFコルテース(29)に黄色いビブスを引っ張られながらシュートまで持っていった。

 「新しい風を感じる。いい緊張感でやれている」と鈴木は言う。リーグ戦終盤、吉田達磨前監督(42)から片渕浩一郎監督(41)への交代があった。新監督は前へのアグレッシブな姿勢を求めているだけに、スピードが持ち味のFWは個性を発揮しやすい。「新潟らしさが、さらに出てきた」という鈴木は、らしさを見せて次節浦和戦で今季初ゴールを狙う。

 前節磐田戦では今季初アシストをマークした。ターンからDFと並走しながら左クロスを放った。北嶋秀朗前コーチ(38)と自主練習で繰り返してきたターンが実った形。「ボールを奪った瞬間の動きだしをイメージしていきたい」と22日の浦和戦までのテーマも既に決まっている。

 リオ五輪後に、体幹を強化し同時に柔軟性をもたらす「ピラティス」を始めた。「体をうまく使えるようになった」と言う。2月には左大腿(だいたい)四頭筋肉離れ。故障防止の意味もある。残り3試合へ、用意周到だ。「頑張ります」という鈴木の短い言葉に、勝利への思いがこもっていた。【涌井幹雄】