浦和がエースFW興梠慎三(30)の公式戦初のハットトリックで、クラブ10年ぶりの国内3大タイトル奪取に弾みをつけた。

 ホームで東京を3-1で破り、2戦合計5-2で決勝進出。横浜と2戦合計1-1とし、アウェーゴール数で上回って勝ち上がったG大阪と、15日の決勝で対戦する。昨季J1リーグチャンピオンシップ(CS)準決勝、天皇杯決勝と一発勝負で苦杯をなめてきた宿敵を相手に、悲願のタイトル獲得に挑む。

 後半8分。MF駒井がペナルティーエリア内にドリブルで切り込み、ファウルを誘ってPKを得た。プレーの勢いで、ゴール裏に転がり出たボールを、おもむろに拾った。「阿部ちゃんもいなかったし、蹴らせてもらった」。ゴール左隅にきっちり決めると、照れたように笑い、スタンドに向けて指を3本立てた。

 この日3得点目。リーグ戦でも通算98ゴールを挙げてきたが、プロとして公式戦でハットトリックを記録するのは初めてだった。鹿島で10冠を経験した“優勝請負人”は「1試合3発よりも、3試合で1点ずつ取った方が、より多くの勝ち点につながる」と語る。しかしすぐに「でもホントは、1度くらいやってみたいと思ってたんだよね」と表情を崩した。

 チーム3年ぶりの決勝。相手はG大阪だ。昨季はCS準決勝、そして天皇杯決勝と一発勝負で敗れてきた宿敵。しかし興梠は「今回は負ける気がしないんだよね」と言い切る。チームはこれでリーグ、ルヴァン杯合わせて8連勝。「今年も失速」とやゆされ続けてきた、苦手のシーズン終盤にグッと調子を上げてきた。

 そして個人的にも初のハットトリック。G大阪相手の「三度目の正直」へ自信を深める。「タイトルを取りたい。ルヴァン杯で優勝できれば、リーグ戦にも必ずつながると思う」。ここ数年、試合内容ではライバルクラブを上回りながらも、優勝まであと1歩届かずに来た。初タイトルを足掛かりに、黄金時代を到来させる。【塩畑大輔】

 ▼ハットトリック 浦和FW興梠が東京戦で3得点。自身初。ルヴァン杯(旧ナビスコ杯含む)で今季初、通算38度目。浦和では08年3月23日の京都戦でFWエジミウソンが達成して以来8度目。興梠はJ1リーグ戦で歴代13位の通算98得点を記録しているが、過去にハットトリックはなく、ACLや天皇杯などすべての公式戦を含めても、1試合3得点以上は今回が初。