新潟が14年連続でJ1の座を死守した。今季最終節はホームで広島に0-1で敗れたが、勝ち点で並ぶ名古屋も敗れたため、得失点差で「4」上回った。2年連続3度目の年間15位で辛うじて残留を決めたが、クラブは9月から指揮を執る片渕浩一郎監督(41)の来季続投を優先する方向。今季はJ1昇格後ワーストの20敗と、低迷が続くチームの再建を急ぐ。

 試合後、名古屋の敗戦を告げる場内アナウンスが、歓喜の呼び水になった。「名古屋対湘南は1-3で湘南が勝ち、新潟のJ1残留が決まりました」。スタンドから大歓声と拍手。ベンチ前で待機していた選手とスタッフは、笑顔でハイタッチを交わした。

 救われた。片渕監督は「来季もJ1のステージでプレーできる。最低限の仕事はできた」と表情に安堵(あんど)感を漂わせた。同時に「結果(0-1)は受け止めないと。まだまだ修正しなければならない」と、自力で決められなかった事実を重く受け止めた。

 前半21分に広島FWウタカに先制を許し、劣勢に立たされた。時間は経過し、後半41分に3人目の交代選手としてDF大野和成(27)がピッチへ。このとき新潟ベンチは、名古屋の2点ビハインドを知っていた。DF松原健(23)は「カズ(大野)君が来たことで、みんな『このままで行け』という指示と受け取った」。片渕監督は大野に「バランスを崩すな」と伝えた。ホーム最終戦で得点を挙げるという理想を捨て、「残留」の現実路線を選択した。

 「結果、1勝3敗。たたかれてもおかしくない成績だが、選手、スタッフと一丸になった素晴らしい1カ月だった」。片渕監督は自らが指揮した4試合を振り返った。解任された吉田達磨前監督(42)の後を継ぎ、9月27日に就任。前監督時代に影を潜めていた、アグレッシブな新潟のスタイルを、復活させた。田村貢社長は「微妙な判定で試合が崩れたG大阪戦のような負けもある。内容的には短期間でチームを立て直してくれた」と評価。「来季監督として前向きに考える」と、片渕監督の続投方針を示唆した。

 ただ、現実は厳しい。今季通算は8勝20敗6分け。負け越し12、勝ち点30ともJ1昇格後のクラブ史上ワースト。早期の立て直しが、課題として突きつけられた。【斎藤慎一郎】