世代連覇へ-。なでしこリーグ仙台レディース(L)のU-20(20歳以下)日本女子代表DF市瀬菜々(19)が、今日13日に開幕するU-20女子W杯パプアニューギニア大会に挑む。14年にU-17女子W杯コスタリカ大会で、日本の初優勝に貢献。3月に常盤木学園高(宮城)を卒業したセンターバック(CB)は、仙台Lでもリーグ戦6試合目から定位置を確保した。U-20でも不動のCBとして2世代続けての優勝に導く。

 市瀬は12日、赤道直下の決戦の地パプアニューギニアで調整した。ヤングなでしこと呼ばれるU-20女子代表の世界一への挑戦。「優勝は絶対したい」と力を込めた。「勝って勢いをつけたい」と話す、ナイジェリアとの1次リーグ初戦を、今日13日に迎える。

 過去に男女含めてU-17W杯と、その2年後に開催されるU-20W杯を連続で制覇したチームはない。14年にU-17女子を制覇した日本は、史上初の快挙に挑む。そのヤングなでしこ不動のCBが市瀬だ。2年前より、厳しい戦いと分かっている。「U-17は相手の体つきは日本人とあまり変わらなかった。U-20は全然違う」。代表の海外遠征に2度参加。米国やドイツなどと親善試合を行い、体格差を肌で味わった。

 フィジカルや球際の強さ、カバリング能力などが高い。仙台Lではリーグ6戦目からCBのレギュラーをつかんだ。相手が前がかりに攻めてくれば、ボランチを飛ばして前線へパス。逆に引き気味の相手にはボランチを使うなど、U-17時代とはひと味違う、攻撃の起点にもなった。

 対戦チームによって攻め方、守り方を変えることを求めた千葉泰伸監督(45)は「1戦1戦成長していった。さまざまなFWに対応する守備ができるようになった」と認める。CBとして小柄な身長160センチで出場し続けたのは、同監督の「代表で活躍し、選ばれ続けてほしい」との願いがあった。国内最高峰リーグで体験した速さ、高さ、強さ。それがW杯で生きる。

 U-17の優勝を、常盤木学園で一緒につかみ取ったFW小林里歌子(19=日テレ)が、右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の影響でメンバーに選ばれなかった。10月に仙台で一緒に食事をした。「次はなでしこで」とA代表での再会を誓い合った。親友の無念を胸に秘め、将来の夢を近づける戦いが、いよいよ始まる。【久野朗】

 ◆市瀬菜々(いちせ・なな)1997年(平9)8月4日、徳島県生まれ。小学1年から川内南少年団でサッカーを始め、川内中ではサッカー部と鳴門ポラリスLFCに所属。常盤木学園高に進学し、同校ではボランチで活躍。今季仙台Lに加入。12年のU-15日本女子代表から毎年、世代別の代表に名を連ねる。家族は両親、兄2人、弟。160センチ、56キロ。血液型A。

 ◆大会方式 16チームが参加。A~D組の4チームに分けて1次リーグを行う。各組上位2チームが決勝トーナメントに進出。決勝は12月3日に行われる。