今年の浦和は堅い。日本代表GK西川周作(30)を中心とした守備陣が鹿島を完封。最大のピンチは後半6分に訪れたが、西川がMF遠藤との1対1をビッグセーブ。パスが出た瞬間から猛然と距離を詰め、ボールを浮かされる前に体に当てて防いだ。これで流れを引き寄せ、チームは6分後に先制。シュート数は自軍の5本に対して11本と上回られたが「点は取られなかった。緊張感ある試合ではGKの活躍が必要になる」と納得した。

 全員の守備意識が、如実に高まっている。前半は鹿島の積極的なプレスに苦しんだが、足を動かし続け、最後の一線だけは越えさせない。ボールを持つと、5トップの形になって攻勢を強める中で大切にするのは、守備に回った時の切り替えの早さ。そして、敵陣内でのプレスだ。ミーティングでは、オランダ代表FWロッベンがゴール前から自陣まで約80メートルを駆け戻り、クリアするシーンを何度も見て意識づけ。この日も2列目の武藤らが長い距離を上下動。鹿島の自由を奪い、完封劇を演出した。

 堅実にもなった。今季リーグ戦は、年間試合数(34試合)を下回る28失点。リーグ最少だった。この日も1点リードした後は確実性を取り、DF槙野は残り10分を切ると、CKでも攻め上がらなかった。「昔ならイケイケだったはず。成長したし、J1最少失点をCSでも示さないといけないので」。試合巧者の鹿島を上回る手堅さが、今年の浦和にはある。【成田光季】

 ◆浦和の今季リーグ戦失点 28失点はリーグ最少。1試合平均0・82点はJ1歴代3位タイの少なさだった。今季の34試合のうち無失点が15試合、1失点が12試合、2失点以上は7試合。1失点以下が計27試合と全体の79・4%を占める。