「ニッカン・フットボール・アウォーズ」の第2回はJ1守備編。鹿島DF昌子源(23)が、守備範囲の広さを示した。サッカー分析会社「データスタジアム」が集計するタックル、クリア、ブロック、インターセプト数の合計から算出した「守備プレー数」でリーグ1位。鹿島の7年ぶり年間優勝に大きく貢献した。

 今季の昌子は、リーグ最多の「守備プレー」を記録した。377回は断トツ。281回でリーグ10位だった昨年から、その数を大きく増やした。チームの1試合平均ボール保持時間は、昨季と今季ともにリーグ6位の28分と大きな変化はなく、相手に攻め込まれたから守備機会が多くなったわけではない。昌子自身の守備範囲が広くなり、相手ボールへのアプローチが格段に速くなった結果だ。

 プレーエリアを昨季と今季で比較すると、その違いは一目瞭然。自陣の左サイドに集中していた昨季に対して今季は敵陣のセンターライン中央付近や自陣の右サイドまで幅広くカバー。読みが鋭くなったことで相手のパスをカットする場面も増え、インターセプト数は昨季の4回→今季は14回。手薄になったエリアを瞬時に察知し、味方をカバーし続けた。そうして守備範囲は拡大した。

 さらに特筆すべきはタックル数の増加だ。リーグ26位タイの84回から155回と倍近くも増えた。回数だけなら、Jリーグ屈指のボール奪取力を誇る新潟MFレオ・シルバを抑えてトップだった。ボール奪取直後に出したパスの成功数も1位となり、「守備→攻撃」の切り替えを素早くする役割も担った。

 23歳の日本代表DFが急成長するとともに、チームの失点数も昨季の41点(6位)→今季は34点(2位)に減少。最後にチャンピオンシップを制し、7年ぶりに年間王者の座に返り咲いた。【石川秀和】