Jリーグ王者として開催国枠で初出場の鹿島が、開幕戦でオセアニア代表オークランド(ニュージーランド)に2-1で逆転勝ちし、準々決勝へ進んだ。1-1の後半43分、左足首捻挫の影響で先発を外れたFW金崎夢生(27)が頭で決勝ゴール。チャンピオンシップ(CS)MVP男が、勝利に導いた。11日にアフリカ代表のマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)と4強を懸けて対戦する。

 エース金崎が勝負強さを際立たせた。3戦3発だったCSに続き、クラブW杯初戦で決勝ゴールを決めた。後半18分に途中出場すると、ゴール前で相手DF陣を引きつけ、FW赤崎の同点弾を陰から演出。同43分には、DF山本の左クロスをFW土居が頭で折り返したボールを逃さなかった。痛めている左足でジャンプし、DFとの競り合いに勝って頭で押し込んだ。

 これでリーグ戦後、4戦4発の“ポストシーズン男”は「足の状態もあったので、今日の出番は石井監督に任せていた。流れを変えたかったし、うまく入ってくれて良かった」。アシストした土居も「夢生くんは(状態が)悪いふりなんで。全然大丈夫。本当は僕が決めようと力込めて打ったんですけど、結果的に得点につなげてくれた」と冗談を交えながら、信頼感を表現した。

 7年ぶりのJリーグ制覇から中4日。石井監督が「前半は体が重かった。相手陣で回しているけれど、シュートの形が少なかった」と振り返ったように、効果的なパスは皆無。覇気にも欠け、ハーフタイムにはDF昌子が「もっとシュート打とうよ」と仲間を鼓舞した。後半開始直後の失点に加え、赤崎、金崎の投入で、チームの闘志にようやく火がついた。

 国内主要タイトル18冠を誇る伝統クラブながら、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の最高はベスト8と国際舞台で存在感を出せていない。だが、この1勝は大きい。順位決定戦を含めて最低でもあと2試合は世界の強豪と対戦できる権利を得た。「開催国代表として出場している以上、もっと恥じないプレーをしないと。しっかり各自が責任を持つべきだと思う」。金崎はゴールの喜びに浸ることなく、勝ってかぶとの緒を締めた。【鎌田直秀】

 ◆クラブW杯 国際サッカー連盟(FIFA)主催のクラブ世界一決定戦。00年ブラジルで始まり、一時中断後、05年に日本で再スタート。今年で13回目。欧州、南米など6大陸王者と開催国リーグ覇者の7チームがトーナメント形式で争う。