今季初実戦で新布陣効果が早速出た。仙台は鹿児島キャンプ8日目の25日、東海大熊本と練習試合(30分×4本)を実施。新布陣「3-4-3」で臨み、計11-0で圧勝。ともに左ウイングバック(WB)で出場したMF中野嘉大(23=川崎F)は1得点1アシスト、DF永戸勝也(22=法大)は1得点2アシストと活躍した。渡辺晋監督(43)は「WBで、4-4-2では取れない形で点が取れた」と、好感触をつかんだ。

 渡辺監督は圧勝を笑顔で振り返った。「たくさんゴールを取れたし、いいイメージを持てた。いいアイデアが出ていた」。厳しいフィジカルトレーニングと並行して、今キャンプでは攻撃に絞って新布陣導入を進めてきた。大学生が相手でも、終始攻め続けた。

 点差よりも、布陣変更の成果に満足した。「これまでにないような形で点が取れて良かった」。従来の「4-4-2」にはない攻撃として、渡辺監督はWBによる得点を挙げた。新布陣において、WBに求められるハードルは高い。カバー範囲の広さ、サイドからのクロス、守備時の対応。渡辺監督が手本にするチェルシーの猛攻と堅守を支えるのは、WBの働きが大きい。この試合も、WBがサイドからクロスを上げるシーンが目立った。

 渡辺監督は、左WBでプレーしたMF中野を「時間とスペースの使い方がうまい。ゴールを決められるのも彼のストロングだ」と絶賛した。1本目の25分、CKからのこぼれ球を冷静に左足で決めた。2本目にはアシストも記録。サイドの起点のみならず、中央から絶妙なパスを送り決定機を演出、と実力をいかんなく発揮した。

 キャンプ中に渡辺監督は中野について「いい意味で驚かされた」と語っていた。11対11のミニゲームで、WBとして誰よりも速くサイドを駆け上がる中野を見ていた。「シャドーでもWBでも楽しみ」。この日はその才能を評価して、WBで起用した。

 中野は「得点に絡める攻撃的な選手。結果で見せていかないと」と振り返った。新戦力と新布陣がうまく絡み合ってつかんでの圧勝劇。チーム、そして中野にとっても今季の巻き返しに向け幸先のいいスタートを切った。【秋吉裕介】