昨季のJ1と天皇杯を制した鹿島が「日替わりゲーム主将」で、国内3冠とアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初制覇に挑む。チームの主将は小笠原満男(37)が引き続き務めるが、各選手のチームを引っ張る意識を高めることを狙い、導入した。11日、茨城・ケーズデンキスタジアム水戸で行われたプレシーズンマッチのJ2水戸戦では、初めてゲーム主将を務めたMF遠藤康(28)が先制ゴールを決めて3-0で勝利。効果は出始めている。

 鹿島MF遠藤は前半34分、相手DFのクリアボールを拾い、左足を振り抜いた。ボールが左ポスト内側に当たってネットを揺らすと左腕を少し上げて拳を握った。「キャプテンマークは初めてだったけれど、自分は気にしない。みんな自覚を持ってやれているし、やることは変わらない」。昨季は不動の右MFだったが、3点目を決めたレアンドロや途中出場の金森らが加入した。「刺激になっているし、それがチームの底上げになる」と、定位置争いで譲るつもりはない。

 今季の対外試合は6戦目。主将マークは計5人が巻いた。石井監督は「いろいろな選手がつけることによって、キャプテンシーにつなげていきたい。シーズン通してやりたい」と説明した。プロ20年目の小笠原に続く次期主将を育成する意味合いもある。4日の横浜FC戦でゲーム主将を務めたDF昌子は「よりチームを引っ張る意識は強くなった。巻くことでいつも以上に周りへの声も出る」と話すなど、効果は出ている。

 18日は富士ゼロックス・スーパー杯の浦和戦(日産ス)、21日にはACL1次リーグ蔚山戦(カシマ)と、いよいよ公式戦が幕を開ける。遠藤は「また世界とやりたい。まずはゼロックスで勝つ」。全員がチームを引っ張る意識で全タイトル獲得に挑む。【鎌田直秀】