初タイトルを目指す川崎フロンターレがFW小林悠(29)の4年連続開幕弾で大宮アルディージャを下し、鬼木監督の新体制で初勝利を飾った。押し込まれていた後半21分、MF中村の右CKを頭で合わせて先制。ロスタイムには中村のダメ押し点をアシストし、2-0で快勝した。新主将が最前線で結果を出した。

 川崎F新体制の初勝利を呼び込んだのは、やはり開幕男だった。大宮ペースで進む中、小林は「セットプレーがカギ」と感じていた。後半21分。右CKを獲得すると「自分のところに来い、来い」と念じた。MF中村からのクロスが来ると頭でズドン。試合前のロッカー室で中村に「今の自分、点取る気しかしない」と予言した通り、4年連続の開幕弾を決め「3年連続決めていて、今年も決められる感覚があった」と誇らしげだった。

 昨季は東京に移籍したFW大久保とともにJ1日本人最多の15得点を挙げた。オフにガンバ大阪、ヴィッセル神戸、サガン鳥栖から年俸1億円超えのオファーを受ける中で残留を決意した。昨秋、練習場で常に横断幕を掲げて応援してくれている男性から「残ってください」と震える声で熱い思いを伝えられた。次々とかかる「残って」の声に自然と涙がこぼれていた。「自分はこれだけの思いで応援してもらっている。やはりフロンターレで優勝したい」と覚悟を決めた。

 FW大久保が移籍し、MF家長、阿部が加入。速いパスワークを駆使する昨季のような攻撃を築くには、時間を要する。「去年よりチャンスが少なくなるかもしれない。そこで決めきるのが自分の仕事」。これまで明確にしなかった個人目標を「得点王とタイトル」と言い切り、エースの強い責任感を背負い、中村から継いだ主将マークを巻く。

 シュート数は大宮を下回り、終盤は猛攻を受けたが、体を張って耐え抜いた。就任直後から「勝負強さ」を掲げてきた鬼木監督も「新しい勝ち方ができた」と振り返った。小林は「決してフロンターレらしくなかったけど、まずは勝つことが大事だった。泥くさく勝ち点3を取れたのは大きい」。元日の天皇杯決勝、22日のアジア・チャンピオンズリーグ水原戦に続き17年は3戦3発。今の小林は誰も止められない。【岩田千代巳】

 ◆開幕戦連続ゴール 川崎FのFW小林が14年から4年連続で開幕戦ゴール。開幕戦の連続シーズン得点記録は、03~09年のFWウェズレイ(大分など)の7年連続だが、4年連続は13~16年の鳥栖FW豊田と並ぶ歴代2位。