俊輔包囲網だ。ベガルタ仙台は2日、紅白戦を行った。主力組は、明日4日に対戦するジュビロ磐田を想定した「4-2-3-1」の布陣のサブ組と対戦。MF中村俊輔(38)がプレーするトップ下にはMF野沢拓也(35)とMF金久保順(29)を起用し、より本格的な対策に取り組んだ。磐田MF中村とマッチアップするMF三田啓貴(26)も、4年前の苦い思いを振り返り、意気込んだ。

 渡辺晋監督(43)は経験豊富な2人を「俊輔役」に抜てきし、イレブンにより強く、元日本代表司令塔を意識付けさせた。昨季2敗と苦手の相手から、2戦連続の完封勝利を挙げれば、チームの勢いはさらに加速する。そのためにも、敵のエースを封じ込めることが、勝利の近道だ。同監督は「間違いなく相手のキープレーヤーですから。抑える」と語気を強めた。DF平岡康裕(30)が「DF1人を中村さんにつける」と話すようにチーム一丸、総がかりで止めにいく。

 その先頭は、三田が引き受ける。中盤でマッチアップする若き仙台の司令塔は、4年前の対決を思い出す。「やばいから、あのシュート」と興奮気味に話した。13年8月17日の東京-横浜戦。後半44分、横浜MF中村(当時)がペナルティーエリア手前で、巧みなフェイントを3回入れて相手守備をかわし、左足でゴールを決めた。東京のボランチだった三田は後方からスーパーゴールを見ていて、強烈なインパクトを受けた。それだけに「体を張ってでも止めたい」と必死だ。

 対策はある。「リスク管理は僕と(MF富田)晋伍さんがやっていかないといけない。数的同数の場面を減らしたい」と話した。例えば中村俊とFW川又堅碁(27)が攻め上がった際、三田か富田のどちらかが中盤の底まで下がることで、3バックの2枚と合わせて3対2の状況をつくりたいという。

 中村俊は開幕戦で両チーム最長の走行距離12・637キロを記録するなど、変わらず元気だ。三田も開幕戦では計12キロ近く走っており、ここで走り負けするわけにはいかない。「自由にさせないことを意識したい」と、徹底的に追いかけて張り合う覚悟だ。同じレフティーとしても、尊敬する相手との再戦。「ゴールに直結するシュートやパスを狙っていきたい」と、次こそは自分が見せつける。【秋吉裕介】