千葉・市船橋高から加入したルーキーDF杉岡大暉(18)が、J初ゴールを含む2得点に絡む活躍を見せ湘南ベルマーレが勝利した。

 前半10分、自らのパスのこぼれ球を拾うと、ドリブルで相手ペナルティーエリアに切り込み、DF2人をかわして左足で決めた。試合後、J初ゴールについて聞かれると「あのエリアで、こぼれてきたので(ドリブルの)スピードに乗っていたので仕掛けた。よく決まったと思います。結構、ドリブルが得意なので仕掛けようと意識したのが出た」と冷静に振り返った。

 ただ、もう1つの“初体験”のことを聞かれると、思わず照れ笑いを浮かべた。ゴール後、先輩たちに、もみくしゃされて祝福された後、みんなでゆりかごポーズをした。2月28日に第2子の男児が誕生した、FW野田隆之介を祝福するためのもので、この日、2得点を決めたMF高山薫の発案だったという。杉岡は「そう(初めて)ですね。野田選手のところに生まれたので、薫さんがやろうと言ったのでやりました。いつの間にかやっていました」と笑った。

 後半3分には、左サイドから前線中央に放ったロングフィードが、高山のPK獲得を生んだ。「事前に、相手が前から来るからシンプルに裏を取れるチャンスが何回かあるぞ、と言われていたので、うまい形でヨシさん(FW藤田祥史)が相手の裏に抜けてくれて(前線にボールが通って)良かったです」と、狙い通りだったことを強調した。

 2月26日の水戸ホーリーホック戦で、高卒新人ながら開幕スタメン、フル出場を果たしたが、満足はしていなかった。同25日に、市船橋高の同期でJ1アルビレックス新潟入りしたMF原輝綺(18)が、広島戦でクラブ史上初の高卒開幕スタメンデビューを飾っていたからだ。原に連絡を取り、刺激を受けて水戸戦に臨んだが「先にJ1でデビューしていたし、評価も高かったので負けていられないと思った」とライバル意識は高まった。

 第2節はJ1、J2が同日開催で、原はヴィッセル神戸戦にフル出場もゴールはなく新潟も1-2で敗れた。高卒新人開幕スタメン、フル出場デビューは譲ったが、J初ゴールは先に決めた。杉岡は「原選手にいい連絡が出来ますね」と聞かれると「そうですね。自慢したい」と言い、満面の笑みを浮かべた。落ち着き払った新人離れしたプレーに加え、試合後の取材対応も冷静な杉岡だが、この時ばかりは18歳らしい顔をのぞかせた。【村上幸将】