昨季王者の鹿島アントラーズが、首位だった横浜F・マリノスに1-0で競り勝った。0-0の後半38分、途中出場のFW鈴木優磨(20)が右クロスを頭で合わせて決勝ゴール。今季の対外試合で出場11戦8発と好調な決定力を、日本代表ハリルホジッチ監督の前で見せつけた。今日11日は東日本大震災から6年。気迫を込めたプレーを、被災した本拠のサポーターだけでなく、東北にも届けた。

 20歳の若きストライカー鈴木が、打点の高いヘディングシュートで決勝点を奪った。右拳を突き上げ、ほえた。鹿島ジュニアユースに所属していた中2の11年3月11日から6年。千葉・銚子市の実家を含め、甚大な被害を経験しているだけに「もちろん忘れてはいけないこと。みんなを元気にするためにも、決められて良かった」と胸を張った。

 試合前のロッカールームでは石井監督の「サッカーができる喜び、幸せを感じて戦おう」の声を中心に、勝利への結束も一段と高まっていた。昨季から4連敗中だったホーム戦で、今季初勝利をサポーターに届け「苦しいゲームになりましたが、勝ち点3をとれてよかった。真ん中に残れと監督に言われていたので、良いボールが来て仕事ができた」と笑顔を見せた。

 今季の対外試合は出場11戦で8得点と好調。日本代表ハリルホジッチ監督の御前試合で結果も出した。それでも、スーパーサブ脱却に向け、満足する気持ちは、まだまだない。金崎、ペドロ・ジュニオールらとの定位置争いに勝てば、代表初招集も自然と視界は開ける。「与えられたチャンスで得点をとり続けたい」。鹿島での先発出場と、日本代表に挑む気迫の一発となった。【鎌田直秀】