25年目のJリーグで、世界仰天の50歳弾が生まれた。J2横浜FCのFWカズ(三浦知良、50)がザスパクサツ群馬戦(ニッパツ)の前半40分、今季初ゴールを決めた。

 横浜FCのFWカズ(三浦知良)の50歳弾には、足に込めた「カズ魂」が宿っていた。サッカーを始めた小学時代からプロでも、スパイクを含めた道具を大切にする心は変わらない。2月8日にはスパイクが破れるほどの左足親指付近の裂傷を負った。その左足での偉業達成には“スパイクの神様”も味方についていた。

 左足を振り抜いたカズは、スパイクに魂を込めている。近年は試合ごとに履き替える選手も多いが、基本的には1足を履きつぶす。カズを20年以上担当してきたプーマ社の冨田氏は「年齢とともに足への負担も考えて履く数は多くなってきましたが、昔は年間で3足ということもありました」。用具を大事にする心も少年少女の手本だ。

 「こだわりがないのが、こだわり」(同担当)だ。スパイクへの改良要望もないため“カズモデル”はない。基本的には同社が一般発売している新商品を履く。カズの心は「一番よく改良されているスパイクだから売り出すんでしょ」。

 宮崎合宿中の2月8日のセレッソ大阪戦で左足親指付近を負傷し、4針縫った。当日、同担当のもとに「スパイクが、こんなに血まみれになってしまいました」のメッセージとともに、白いスパイクの写真がLINEで届いた。関係者によると、カズはスパイクに「ごめんな、痛い思いさせて」と話しかけていたと言う。

 新調したスパイクで史上初の50歳Jリーガーとして開幕から3戦連続で先発している。25歳だった92年11月のアジア杯イラン戦での決勝ゴール後「魂込めました、足に」と語ったカズ。50歳0カ月14日の決勝弾は、こぼれ球が左足に引き寄せられたかのようだった。【鎌田直秀】