清水エスパルスの新背番号10、MF白崎凌兵(23)がチームを救った。ホームでの大宮アルディージャ戦。後半42分、右クロスに右足を合わせて1-1にした。昨季までの10番、大宮FW大前元紀(27)の前での同点弾。J1ではホーム13戦勝ちなしだが、ブラジル人FWチアゴ・アウベス(24)はデビュー戦でアシストを記録。今後に希望を抱かせる勝ち点1になった。

 重圧をはねのけ、白崎が背番号10の責任を果たした。後半42分、右からのクロスを滑り込みながら右足に当てた。ボールは相手GKの手に触れた後、ゴールへ。鹿島戦(3月18日、2-3)に続くホーム連発で、チームを救った。「(試合の)入り方が悪かった。引き分けは最低限の結果だと思う」。

 特別な思いでピッチに立っていた。大宮の先発には、昨季まで清水の10番をつけていた大前がいたからだ。「一番お世話になった」先輩。昨季終了後、移籍すると報告を受けた時の率直な感想は「寂しい」だった。この日、清水サポーターからブーイングを受ける姿を目の当たりにしたが、試合後、テレビインタビューを受けていると、笑顔で「バイバイ」と手を振られた。先輩の愛ある振る舞いに、白崎は慌てて会釈で応じた。

 チームは今季ホーム初勝利を飾れなかったが、貴重な勝ち点1を手にした。白崎自身にとっても大きな1点だ。開幕から7試合連続フル出場。攻守に奔走し、走行距離では常にチームトップクラスながら、チャンスを逃す場面もあったことで、同点弾にホッとした表情を見せた。

 「最近、決め切れていなくて苦しかった。チームに迷惑をかけていた。1点入ったのは、次につながる」

 10番を付けると同時に掲げた目標は、自身のゴールやアシスト数ではなく「チームを勝たせられる選手になる」。この1点をきっかけに、クラブの顔として、チームの中心として突き進む覚悟だ。【保坂恭子】