浦和レッズFW興梠慎三(32)が、J1最多タイとなる7年連続リーグ2桁得点をマークした。前半7分、3試合連続となるゴールを右足で決めた。これが決勝点となり、3位川崎フロンターレを2-0で下した。前節で首位のサンフレッチェ広島も撃破し、後半戦のスタートダッシュに成功した。

 7月31日に32歳の誕生日を迎えた興梠が、1日遅れのバースデー弾を決めた。前半7分、DF岩波のロングパスで右に走ったMF武藤が送った低い右クロスに反応した。DFを背負いながら、右足ダイレクトで柔らかく浮かせてゴール左へ。飛び出したGKをいなす、巧みな1発だった。「普通に蹴っていれば止められていた。冷静に決められてよかった」と笑顔を見せた。

 J1ではFW佐藤寿人、FWエジミウソンに続く史上3人目の7年連続2桁ゴールとなった。J1通算ゴール数も130得点の大台に。FWカズ(三浦知良)が持つ歴代6位の139点まであと9点とし、今季での“カズ超え”も現実味を帯びてきた。ただ本人は「なによりもチームが勝つことがうれしい」。自分のことは二の次だった。

 ゴールを奪うたびに、口にする言葉がある。「自分は1人でゴールを取れる選手じゃない」。175センチ、72キロ。体格に恵まれているわけではない。強引にこじ開けるタイプではないからこそ、駆け引きに生きてきた。ゴール前への飛び込み方は32歳になった今も試行錯誤の日々。DFの息づかいまで見極め、半歩早くボールに届くかの勝負を制してきた。この日の1発もわずかなスペースを突き、かすめ取るように奪った。柔よく剛を制す、興梠らしいゴールだった。

 直近で放った4本のシュートはすべて得点にした。研ぎ澄まされた興梠の活躍で、チームは首位と3位を破っての3戦2勝1分け。14位だった前半戦がうそのように波に乗っている。「次負けたら、努力も無駄になる。切り替えて頑張りたい」。好調のエースは言葉に力を込めた。【岡崎悠利】

 ▼J1連続シーズン2ケタ得点記録 浦和FW興梠が、1日の川崎F戦(埼玉)で前半7分に先制ゴールを決めて今季10得点に到達。J1リーグ戦での年間2ケタ得点は、鹿島時代の12年から7年連続となり、FWエジミウソンとFW佐藤寿人のJ1記録に並んだ。