決勝戦はPK戦の末、川崎フロンターレが優勝を手にした。

GKチョン・ソンリョン(38)が、ファインセーブ連発とPKストップで勝利に大きく貢献した。最大の見せ場は延長前半9分。日本代表FW細谷真大と1対1となる大ピンチだったが、鋭く前に出てシュートを体に当て、ゴールを守った。「1対1を止めるのは自分のストロングポイント。先に転ばないようにして、相手に威圧感を与えられたらと思った」と、殊勲のセーブを振り返った。

そしてもつれ込んだPK戦では10人目のキッカーとして、右足インサイドで右上隅を射抜く高精度なキックを披露。直後には相手GK松本健太の蹴ったPKを止め、チームに優勝をもたらした。試合後は「家長選手に『止めるのもすごいけどキックもすごいな』とほめられた」と、冗談っぽく笑みを浮かべた。

この活躍ぶりに、X(旧ツイッター)でも「ソンリョン」がトレンド入り。「ソンリョン神!」「MVPソンリョン」「ソンリョン伝説だよ」などと称賛の声が相次いだ。延長後半は「集中しすぎて頭がすこしクラっとする感じもあった」と極限状態でプレーしていたことを振り返った守護神。120分間で浴びた19本のシュートを1度もゴールに入れさせなかった。

◆川崎Fのタイトル 天皇杯の優勝は新型コロナ禍による変則開催だった20年大会以来3年ぶり2度目。国内3大タイトルは7冠目となった。17年にクラブ初となるJ1優勝を果たし、以来18年、20年、21年と計4度のリーグ優勝。ルヴァン杯は19年に初優勝した。