民間のシンクタンク、日本経済研究所(東京都)がこのほど「Jクラブの存在が地域にもたらす効果に関する調査」の結果を公表した。経済効果以上に、地域のイメージ向上や活性化などの価値が大きいとする分析結果をまとめ、「Jクラブは地域の重要無形文化財になりうる」と結論付けている。

 調査はJ1の川崎F、G大阪、大分、J2の仙台、甲府、愛媛を対象に実施。経済効果では仙台が約41億円で、同じ仙台に本拠を置くプロ野球の楽天が一般に125億円とされていることに比べると大きく及ばなかった。しかし「地域が一体となって応援でき、地域での楽しみが増えた」(仙台)ことや「計り知れないほどの良いイメージを県に付与」(甲府)したことなど、数字では表せない効果を高く評価している。

 また、各クラブの強みとして「ワールドカップ(W杯)仕様の屋根付きスタジアムの魅力」(大分)、「地元メディアへの露出度の高さ」(仙台)などを挙げる一方、プロ野球の阪神など「他の人気スポーツクラブの存在」(G大阪)や「母体企業がなく経営基盤が弱い」(大分、仙台、愛媛)ことなどを弱みと分析した。

 Jリーグ側は今後36クラブすべてに同様の調査を実施したい考え。羽生英之事務局長は「クラブがこれをどう生かすかが大事」と、今後の地域密着活動につなげることを期待した。(共同)