みちのくダービーを知り尽くした男が、ピッチに戻ってくる。右足首ねんざで戦列を離れていたJ2山形MF財前宣之(31)が、18日の仙台戦(ユアスタ)でベンチ入りすることが濃厚になった。99年から仙台、06年から山形でプレーし、小林伸二監督(47)にダービーで戦ってきた経験を評価された。10試合ぶりのベンチからの途中出場を目指す。

 財前は実戦練習で多彩なパスを散らし、自らも右足でゴール。好調ぶりをアピールした。「復帰したばかりなんで足首を試しながらやってます」。4月3日の練習中に右足首をねんざ。今月11日の練習試合(対グルージャ盛岡)で実戦復帰し、30分プレーした。戦い慣れた、みちのくダービーについては「メンバーに入れるように頑張ります」と控えめに話した。

 東北滞在10年目。ダービーでは、仙台と山形の両チームでゴールを挙げた、唯一の選手として知られる。「ダービーはいつも通りにはプレーできない。サポーターの声援もすごいし平常心とは違う」。そんな財前の経験を、東北のチームを初めて指揮する小林監督は評価した。「経験があるのはベテランのいいところ。2トップか、両サイドの一角に入れることも考えられる」と起用を示唆。ダービー特有の緊迫感を知る技巧派MFが、勝敗のカギを握りそうだ。【柴田寛人】