札幌期待の新外国人候補が、強烈なインパクトを残した。コンサドーレ札幌の練習生、アンデルソン・ルイス(30)が26日、練習試合道都大戦で初実戦に臨んだ。13分に右足で“初ゴール”を挙げると、15、16分にも得点し、3分でハットトリックを決めた。計45分間で6得点2アシストと、十分な存在感を示した。ポルトガルの名門ベンフィカなどで慣らしたブラジル人FWが、格下相手とはいえ素質の片りんをのぞかせた。

 13分、右サイドのディビッドソンが出したグラウンダーのセンタリングを右足で決めると、アンデルソンのゴールラッシュが幕を開けた。2分後にスピードに乗ったドリブルでディフェンスを振り切り右足で2点目。その1分後には相手の裏へ抜け出し、右アウトサイドで技ありゴールを決めた。3分でハットトリックを達成し、終わってみれば45分で6得点。来日6日目、インパクト十分の“デビュー戦”にも「自分のプレーは見せられた。初めてにしては良かったと思う」と淡々と振り返った。

 見守った三浦俊也監督(44)は「技術があるし、チャンスがあれば決められる」と印象を口にした。抜け出しの速さ、正確で強烈なシュートによる得点だけでなく、2アシストも記録。落ち着き払った球さばきで周囲も使い、チャンスを演出した。「経験的にも年齢的にも、落ち着いてプレーするのが自分の特性」。その言葉通りの動きを実践した。

 本来、練習生として参加するような実績ではない。ブラジルの名門コリンチャンスでプロキャリアをスタートさせ、ベンフィカなど欧州の名門クラブでもプレーした。今季は所属クラブがなかったため、練習参加の要請に応えたというのが実情だ。

 かねてリストに挙げていたストライカーだけに、クラブも大きな期待をかけている。ただ現状が果たしてどうなのか、戦術にはフィットするのか、見極める点は多い。そのためこの日も当初予定のなかった練習試合を設け、実戦機会を与えた。その場で残した好結果だが相手は大学生の控え組。三浦監督が「紅白戦とかで同じレベルの選手とやったときにどうか」と話したよう、慎重に実力を判断していく。

 「フィジカルを上げ、もっと状態を良くしていきたい。契約ができればと思う」。そう笑顔なく口にしたよう、アンデルソンに慢心はない。クラブに本気で「欲しい」と思わせるよう、さらに努力する構えだ。【砂田秀人】