<J2:仙台3-1徳島>◇第21節◇21日◇ポカリ

 指揮官の強烈なゲキとマジックが、J2仙台に逆転勝利を呼び込んだ。後半13分のDF岡山一成(30)の同点ゴールを口火に、都合3得点で逆転勝利。途中出場のMF佐藤由紀彦(32)も得点するなど、手倉森誠監督(40)の采配もさえ4位をキープした。

 追い付いても勝ち越しても、笑顔をまったく見せない。初めて手倉森監督の顔がほころんだのは、佐藤が3点目を奪った時だ。タッチライン際まで自らダッシュで駆けつけ、思いっきりヒーローを抱きしめた。後半25分からピッチに投入し「相手がサイドの対応に苦しんでいるから、外から攻撃しろ。点に絡め!」というミッションに応えた戦士を、誇りに思った。

 指揮官は会見場に現れるなり、大きく息をはいて、ハーフタイムの出来事を語った。14位の相手に先制され、敗戦もちらつく展開に猛烈なゲキを飛ばした。「ハーフタイムに(チームに)脱落感があったけど『1点取られたくらいで下向くな!』と言った。もっと走って、外から(攻撃的に)行けと話した」。

 後半、目を覚ましたイレブンの動きが見違えるほど変わる。指揮官の動きも早かった。「サイドバックにボールを持たせてくれていたので攻撃的にいった」と説明するように9分、左サイドに田ノ上を投入。右の田村と合わせ、両サイドバックのオーバーラップが増え徳島DF陣を引かせた。1-1の25分には佐藤を投入し、関口をFWに。その関口が「気持ちで入れた」決勝ヘッド。動かした選手が次々に結果を出した。

 アウェーでは4戦、46日ぶりの勝利。それでも「内容は50点」と指揮官は手放しでは喜べない。負ければJ1昇格切符争奪戦から脱落しかねない状況に変わりはない。「サポーターの尻に火が付いているだけじゃダメ。選手も危機感を持っている」と佐藤が話せば、手倉森監督も「(15日の)山形戦の負けを大きなバネにしないといけない」。いばらの道は、まだまだ続く。【山崎安昭】